2011 Fiscal Year Annual Research Report
DNA損傷修復経路における合成致死性を応用した乳癌の化学療法に関する研究
Project/Area Number |
23300358
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
太田 智彦 聖マリアンナ医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60233136)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中田 慎一郎 慶應義塾大学, 医学部, 特任講師 (70548528)
津川 浩一郎 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (60313657)
朴 成和 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (50505948)
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Keywords | DNA修復 / 合成致死性 / 癌化学療法 / 乳癌 / 非癌遺伝子依存性 |
Research Abstract |
本研究はDNA修復経路における合成致死性を利用した治療を開発するために、DNA損傷性薬剤に対してそれを補完する因子の機能不全を同定することを目的としている。平成23年度はDNA二本鎖切断に対する相同組換え修復に必須な23遺伝子について検討を行った。Epirubicinを含む術前化学療法を施行した原発性乳癌のうち、Luminal A乳癌の病理学的完全奏功(pCR)、非奏功SD、およびTriple negative(TN)乳癌のpCR、各15症例(計45症例)の癌部分をmicrodissectionにて採取し、HRに必須な23遺伝子のメチル化をBisulfite-pyrosequence法にて解析した。TN-pCRでは4例にBRCA1のメチル化が認められたのに対し、Luminal A-pCRではMDC1の軽度メチル化を5例、PALB2の高度(100%)メチル化を1例、RAD54の高度メチル化(99%)を2例認めた。SD症例ではMDC1の軽度メチル化を1例のみ認めた。以上よりLuminal A乳癌には相同組換え修復遺伝子のメチル化によって化学療法感受性が生じる症例が存在すると考えられる。また、PLK1高発現癌細胞ではBRCA1のユビキチンリガーゼ活性が抑制されているために、CPT11とPARP阻害剤に対する感受性が亢進していることが判明した。マイトマイシンCに対する感受性には変化がなかった。さらにEGFRが非相同末端連結に必要なことからこれを阻害するエルロチニブの作用を解析したところ、BRCA1欠損細胞では感受性が亢進することが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
化学療法の感受性に関するsiRNAを用いた実験がRAD51に対するoff-targeteffectにより、予想される結果が出ていない。これについてはRAD51に対するoff-target effectが非常に頻繁に起こることが最近報告されており(Adamson,et al.,Nature Cell Biology 2012)、詳細条件を修正して24年度に行う予定である。これ以外の研究計画については概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は下記を行う予定である。 1)合成致死性を生じる薬剤と遺伝子の組合せによる薬剤感受性解析:PALB2とRAD54についてzincFingerを利用したノックアウト法にて遺伝子欠損細胞を作成し、この細胞を用いて合成致死が予測される薬剤に対するIC50を解析する。in vitroおよびマウス皮下腫瘍としてin vivoでの解析を行う。II)分子生物学的機能解析:BRCAI-BARD1のヘテロクロマチン領域におけるDNA修復機構について解析する。III)臨床検体での解析:乳癌検体における田)R遺伝子の体細胞変異を、半導体マイクロチップ次世代シークエンサーによるExome解析にて検出し,この遺伝子変化による細胞の化学療法感受性の変化を解析する。
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Research Products
(5 results)