2011 Fiscal Year Annual Research Report
miRNA分子スウィッチによる発がん抑制バリアーの選択機構
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23300359
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
土屋 直人 独立行政法人国立がん研究センター, 研究所, ユニット長 (30322712)
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Keywords | 腫瘍学 / miRNA / がん抑制因子 |
Research Abstract |
マイクロRNAにより制御される細胞内ネットワークの破綻は、がんを始めとする様々なヒト疾患と深く連携している。本研究では、我々が単離した"がん抑制的miRNA"である、miR-34a、miR-22及びmiR-101による正常細胞の細胞周期制御機構を理解し、それらによって形成されるがん抑制バリアーの全容とその制御機構を明らかとすることを目的とする。 miR-22、miR-34a及びmiR-101の正常線維芽細胞における発現を解析したとこと、miR-34aは細胞のGO期に発現上昇する可能性が示唆された。一方、miR-22はG1期において発現が上昇すると考えられ、両者はともに、がん細胞の増殖を抑制するものの、正常細胞においては、その作用機序が異なることが示唆された。miR-101については、機能の詳細を解析し、miR-101によって、p53経路が正に制御されていることを見出した。現在、上記知見について、その分子機構を詳細に解析している。 miR-22の機能を誘導的に阻害する細胞株の樹立を試みた。miR-22は、C17orf91遺伝子にコードされているため、その転写産物に対するshRNAが効果的であると考えた。しかしながら、C17orf91の転写産物は、mRNA型として細胞質へと輸送されていることが明らかとなり、単純なshRNAの戦略が難しいと思われる。即ち、miR-22の発現制御は、転写レベルに加えて核内におけるプロセシングも関与していることが考えられる。現時点で、shRNAを恒常的に長時間発現させることで、細胞内の成熟体miR-22も減少することから、miR-22の機能を阻害した細胞株の樹立は可能であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、がん抑制的miRNAの正常細胞における発現解析が終了し、細胞周期との関連が明らかとなってきた。また、この結果が今後の、研究方針へと大きく影響を与えると考えられるが、仮設を支持する結果となったため、研究計を計画書通りに遂行できる。
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Strategy for Future Research Activity |
正常細胞の細胞周期制御に関連するマイクロRNAの解析を継続する。着目するマイクロRNA、miR-34a、miR-22、miR-101以外にも重要な分子が存在するか否かスクリーニングを行う。また、各種マイクロRNAの機能を阻害するshRNA(もしくはanti-sense発現)を導入した細胞株を樹立し、細胞周期制御と発ぶん抑制バリアーとの関連を詳細に検討する。さらに、miRNAの機能と発がん抑制バリアーの切り替えに関して、分子機構を明らかにする。
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