2011 Fiscal Year Annual Research Report
がん細胞に老化を誘導し増殖・転移を抑制するマイクロRNAのメカニズムの解明
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23300363
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
田原 栄俊 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (00271065)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
落谷 孝広 国立がん研究センター研究所, がん転移研究室, 室長 (60192530)
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Keywords | miRNA / 癌細胞 / 細胞老化 / SIRT1 |
Research Abstract |
がん細胞は、正常細胞にみられる老化プログラムから逸脱した細胞であり、この老化プログラムを再活性化することが、がん抑制機構の重要な方法であるといわれている。細胞老化のモデルとして繊維芽細胞を用いて細胞老化で増加するマイクロRNAをアレイ解析により約20種同定した。これらの中の、miR-22は、乳癌や子宮頸がんなどの様々ながん細胞株の老化を誘導した。また、乳癌の高転移株モデルマウスでは、腫瘍抑制、転移の抑制効果を示し、in vivoでの効果も証明できた。これらの作用メカニズムの一つとして、miR-22は、SIRT1、CDK6およびSP1を標的として細胞増殖を抑制していることも、3'UTRルシフェラーゼアッセイ、ウエスタン解析などで明らかにした。また、miR-22により細胞老化誘導のメカニズムを解析する目的でcDNA array解析を行い、細胞老化で典型的な経路が活性化されていることを明らかにした。その中でも、細胞老化誘導を起こす引き金として注目されているクロマチンリモデリングに関与するエピジェネティクスな調節にmiR-22が関与している可能性を明らかにすることができた。また、他の標的分子に関しても細胞老化誘導の表現型で重要な標的因子も同定できた。miR-22が癌細胞の増殖・転移を抑制可能な癌種の検索計画においては、新たに膵がんでも効果があることをin vitroの細胞培養系で実証できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
miR-22のメカニズム解析において、どのようなpathwayが関与しているか網羅的に解析することに成功し、その中で研究計画において注目していたエピジェネティックな細胞老化制御のメカニズムの可能性を明らかにできた点は、成果として大きい。新たな抗腫瘍活性を示す臓器として膵がんを同定できた点も研究計画通りである。
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Strategy for Future Research Activity |
1.miR-22のメカニズム解析として、本年度明らかにしたエピジェネティックな細胞老化制御のメカニズムに焦点をあてて、そのメカニズムの全貌を明らかにすることを目標とする。 2.今後、新たに抗腫瘍効果を見いだした膵がん細胞について、in vivoを評価できるマウスモデルの構築が問題である。これらについては、主要な膵がん細胞を予備的に移植して、いくつかは実現できそうなレベルであるので、それらを用いてin vivo実験を実証する。 以上、本研究によりmiR-22の細胞老化誘導メカニズムを明らかにすると同時に、in vivoでの効果も実証する。
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[Journal Article] miR-22 represses cancer progression by inducing cellular senescence2011
Author(s)
D. Xu, F. Takeshita, Y. Hino, S. Fukunaga, Y. Kudo, A. Tamaki, J. Matsunaga, R. Takahashi, T. Takata, A. Shimamoto, T. Ochiya, H. Tahara
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Journal Title
J. Cell Biology
Volume: 193
Pages: 409-442
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Two unrelated patients with MRE11A mutations and Nijmegen breakage syndrome-like severe microcephaly2011
Author(s)
Y. Matsumoto, T. Miyamoto, H. Sakamoto, H. Izumi, Y. Nakazawa, T. Ogi, H. Tahara, S. Oku, A. Hiramoto, T. Shiiki, Y. Fujisawa, H. Ohashi, Y. Sakemi, S. Matsuura
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Journal Title
DNA Repair (Amst)
Volume: 10
Pages: 314-321
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] The potential of senescence-associated miRNAs as tumor suppressor2011
Author(s)
Saori Fukunaga, Dan Xu, Fumitaka Takeshita, Yumiko Hino, Yasusei Kudo, Aya Tamaki, Erika Ishihara, Junko Matsunaga, Ryou-u Takahashi, Takashi Takata, Akira Shimamoto, Takahiro Ochiya, Hidetoshi Tahara
Organizer
第34回日本分子生物学会年会
Place of Presentation
パシフィコ横浜
Year and Date
2011-12-14
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[Presentation] 細胞老化を調節する新規老化関連マイクロRNAの探索と機能解析2011
Author(s)
福永早央里, 徐丹, 竹下文隆, 日野由美子, 工藤保誠, 玉置彩, 石原えりか, 松永純子, 高橋陵宇, 高田隆, 嶋本顕, 落谷孝広, 田原栄俊
Organizer
第3回日本RNAi研究会
Place of Presentation
グランドプリンスホテル広島
Year and Date
2011-08-26
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