2014 Fiscal Year Annual Research Report
抗がん剤およびがん分子標的薬に対する治療抵抗性および薬剤反応性の分子機構
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23300364
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
杉本 芳一 慶應義塾大学, 薬学部, 教授 (10179161)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ABCトランスポーター / ABCB1 / ABCG2 / ABCB5 / P-糖タンパク質 / BCRP / SNP |
Outline of Annual Research Achievements |
P-糖タンパク質(P-gp)を発現するヒトがん細胞株HCT-15、SW620-14、HT1080/3HisMDRを用いて、P-gpの発現を変動させる低分子化合物を探索し、プロテアソーム阻害薬であるMG132、lactacystin、bortezomibがP-gpの発現を増大させることを見出した。次いでP-gpのユビキチン化に関連する酵素群を探索し、ユビキチンリガーゼ(E3)であるFBXO15とユビキチン結合酵素(E2)であるUBE2R1/CDC34がこの反応に関与することを見出した。FBXO15、UBE2R1のsiRNAの導入により、MG132存在下ではユビキチン化P-gpの減少が、MG132非存在下ではP-gpの発現の増大が観察された。FBXO15、UBE2R1の過剰発現により、ユビキチン化P-gpは増大した。また、FBXO15をノックダウンした細胞ではvincristineに対する抵抗性が増大した。以上より、P-gpの分解に関与するユビキチン-プロテアソーム系が明らかになった。 Pim-1阻害薬は、ヒト骨髄性白血病由来のMV4-11/MDRにおけるP-gpの発現、4E-BP1の発現とリン酸化、Mcl-1の発現を低下させた。FLT3阻害薬も、同様の効果を示した。PKAとPKCがPim-1をリン酸化することが、in vitro kinase assayにより明らかになった。一方、Akt、MEK、ERK、GSK3βは、Pim-1をリン酸化しなかった。PKC阻害薬は、MV4-11/MDRのP-gpの発現、4E-BP1の発現とリン酸化、Mcl-1の発現を低下させた。以上より、PKCによるPim-1のリン酸化がP-gpの発現制御に重要であると考えられた。 ヒトABCB5導入細胞293/B5、マウスabcb5導入細胞293/mb5は、グルタチオン(GSH)合成阻害薬であるbuthionine sulfoximine(BSO)に耐性を示した。これらの細胞におけるBSOの細胞内蓄積は親株HEK293と同等であり、BSO自体はABCB5の基質ではなかった。ABCB5導入細胞では、BSOによる細胞内GSHの低下効果が親株より弱かった。ABCB5導入細胞では細胞内のGSHレベルが上昇しており、これがBSO耐性の原因と考えられた。
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(19 results)