2012 Fiscal Year Annual Research Report
凍土地帯森林での観測に基づくプロセスモデルと衛星データによるメタン収支の広域評価
Project/Area Number |
23310009
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
原薗 芳信 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 研究員 (90137240)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市井 和仁 福島大学, 共生システム理工学類, 准教授 (50345865)
植山 雅仁 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 助教 (60508373)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | メタンフラックス / 永久凍土 / ツンドラ植生 / 衛星リモートセンシング |
Research Abstract |
現地でのメタン(CH4)フラックス観測において,分析計や測器の追加などを行ったほか,夏季には集中観測を実施し,チャンバー法,渦相関法,傾度法,REA方の相互比較をおこなった。手法間の相互比較により,CH4 フラックス強度の小さい場所で測定されたフラックスが,十分な精度であることが確かめられ,以下の特性や数値を評価できた。 生育期間を通じた観測の結果,凍土地帯の森林では,年間収支ではCH4の弱い吸収であるが,融雪開始後(凍土融解開始直後)やまとまった降雨の後にはCH4 が放出に変化することを確認できた。さらに,凍土地帯のタソックツンドラ特有の微地形である,窪みや水たまりではCH4が発生するものの,コケに覆われた大部分の林床は,CH4の吸収源となっていた。 これらフラックス観測結果の他,微気象,土壌水分,グランドツルース等のサイトでの観測データを整備した。 CH4収支モデルの構築と改善が進み,推定結果を学術誌に発表したが,広域評価には不確実性が多く残り,情報が不足していることが明らかにされた。 衛星モデルをつかった広域化については,CO2 収支に関して評価を行い,火災跡地と其れ以外とを区分した評価方法を確立した。これにより,CH4 収支についても,発生ポテンシャルの強弱に応じたフラックスの評価に結び付ける道筋ができた。計算機サーバーの更新を行ったので,最終年度はメタンについて,広域評価結果が得られる見通しとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現地観測に集中した結果,測定手法間の相互比較を行うことができたこと,それにより微弱なメタンフラックスを,これまで以上に高い精度で評価できた。 モデル構築に関して,連携研究者が改良したモデルで放出評価を行い,自然生態系では依然として,評価が困難な部分,不確実性が残されていることが明らかになった。 衛星データを使った取り組みでは,森林火災の履歴を考慮した炭素収支モデルの構築ができ,観測結果をトレースできルモデル出力が得られた。これらは,現地調査により質の高いグランドツルースデータが確保できたことの貢献が大きい。
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Strategy for Future Research Activity |
観測から得られた知見を組み込んでモデルのパラメータを確定し,モデルによる推定と観測結果を比較する。現地地上検証データとの比較を通じて,パラメータの改善を行う。これにより,観測で把握できない部分の理解を深める。 モデルにより,環境変化がCH4 フラックスをどのように変化させるか,シミュレートする。 衛星モデルとの結合を図り,CO2 フラックス評価で得た知見を組み込み,Alaska全体の北方林におけるCH4 フラックスを見積もる。
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Research Products
(11 results)
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[Journal Article] Influences of various calculation options on heat, water and carbon fluxes determined by open- and closed-path eddy covariance methods2012
Author(s)
Ueyama, Masahito, R. Hirata, M. Mano, K. Hamotani, Y. Harazono, T. Hirano, A. Miyata, K. Takagi, and Y. Takahashi
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Journal Title
Tellus
Volume: 64
Pages: 1-26
DOI
Peer Reviewed
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