2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23310011
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
大浦 健 名城大学, 農学部, 准教授 (60315851)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新妻 靖章 名城大学, 農学部, 准教授 (00387763)
榊原 啓之 宮崎大学, 農学部, 准教授 (20403701)
堀井 勇一 埼玉県環境科学国際センター, 化学物質担当, 研究員 (30509534)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ハロゲン化PAHs / 環境動態 / 発生源 / 生体影響 / 曝露リスク |
Research Abstract |
本年度は、これまでに開発した高感度分析法を用いて大気環境における塩素化多環芳香族炭化水素類(ClPAHs)の実態調査を実施した。大気試料は全国14地点で採取された粒子状物質とガス状物質を用いた。その結果、ガス状のClPAHsは13種、粒子状のClPAHsは8種が検出された。都市間で濃度の比較を行ったところ、地域によって大きな濃度変動が見られ、ClPAHs特有の発生源が地域単位に存在することが示唆された。また、中国の都市大気においてもClPAHsの観測を実施し、曝露リスクを算出したところ、ClPAHsによる発がんリスクの寄与は0.1%以下であることが見積もられた。一方、ハロゲン化PAHsの毒性評価として細胞曝露による遺伝子発現レベルをPCRアレイによって網羅的に解析した。5環系PAHであるベンゾaピレンの塩素もしくは臭素置換体を乳がん細胞に暴露したところ、アレイ上に約90遺伝子の内、親化合物よりも塩素もしくは臭素置換体で発現量が増加した遺伝子は8種存在した。今後これら遺伝子発現が相互にどのように関わるか検討する必要がありと思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までハロゲン化PAHsの分析法が確立され、環境試料の分析に着手し始めることができた。大気分析では日本全国や中国の大気分析が実施され、これまで限られていたClPAHsの大気濃度データを大きく拡充することができた。また、ハロゲン化PAHsの毒性評価においても、培養細胞を用いた評価法を構築し、PCRアレイにより網羅的に遺伝子発現を明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、全国大気におけるハロゲン化PAHsの分析を継続的に実施するとともに、PMF法を用いた発生源解析を行う予定である。また、韓国やスリランカで採取された底泥の分析も実施する。生体試料についてはサンプル収集が順調に進み、現在のところウミネコやキツネといった野生生物を約80個体集めることができた。これら生体の各組織におけるハロゲン化PAHsの蓄積性についても明らかにする予定である。毒性評価に関してはマウスへの曝露試験を実施し、体内における蓄積性ならびに薬物代謝関連遺伝子の発現を明らかにする予定である。
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