2014 Fiscal Year Annual Research Report
南極海動物プランクトン群集組成の中長期的変化の研究
Project/Area Number |
23310013
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Research Institution | National Institute of Polar Research |
Principal Investigator |
福地 光男 国立極地研究所, 名誉教授 (80099936)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷村 篤 国立極地研究所, 研究教育系, 教授 (10125213)
高橋 邦夫 国立極地研究所, 研究教育系, 助教 (50413919)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 南極海 / 動物プランクトン / 長期変動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の実施計画は、既存動物プランクトン標本を基に、1)多量の植物プランクトンが混入している場合、動物プランクトンを選り分け正確な動物プランクトン量、および大きな分類群毎の個体数を計測し、動物プランクトン組成の長期変動を明らかにし、特に海氷分布との関係を解析する事、また2)日豪両国研究者間での定期的なワークショップを開催し、動物プランクトン組成変化の原因について、①環境要因、及び、②餌生物(海洋基礎生産)との関連、の観点から解析を進め、その研究成果を発表する事の2点である。 平成26年度の分析作業は昭和基地沖における標本から33試料、及び平成25年度に採集された15試料の測定を実施した。これらの作業の支援のため学生を雇用するとともに、外部のプランクトン分析業者に委託して分析を進めた。 上記試料の分析結果より、昭和基地周辺海域においては、各年の海氷分布に伴って小型動物プランクトンの分布が異なることをまとめ、国内において3度の学会発表を行なった。さらに動物プランクトンの分類群(例えば有孔虫)によって、海氷分布と関連した分布様式が異なることが明らかとなり、平成26年11月に国際雑誌「Polar Science」に論文一報を投稿し、現在審査中である。また平成25年度までに得られた成果を平成26年8月にニュージーランド・オークランドで開催されたSCARシンポジウムで発表した。 日本南極地域観測隊がモニタリング観測を実施している南極海インド洋区の東経110度ラインの試料については、平成25年度に確立した植物プランクトンを除いた正確な動物プランクトン量を算出する試料精査方法により、これまでの測定値を再評価および新たな試料の分析作業を実施した。 これまでに得られた成果について平成26年7月に豪州南極局から研究者を招聘し、研究成果統合について議論を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の試料分析は採集年代順に約30試料、および最近採集の約10試料を処理する計画であった。作業支援として学生2名を雇用するとともに、外部のプランクトン分析業者に委託した結果、48試料を精査することが出来た。得られた結果のうち、特に昭和基地周辺海域における小型動物プランクトンの分布と海氷分布との関係性に関する成果は、ただちに国内の学会で発表を行なった。さらにこれまでの分析結果と合わせて投稿論文として国際雑誌に平成26年11月に1報投稿し、現在査読中である。また平成25年度までに得られた成果を平成24年8月にニュージーランド・オークランドで開催されたSCAR(南極科学委員会)シンポジウムでポスター発表した。 研究目的の一つである動物プランクトン群集組成の中長期的変動と海氷分布との関係については、既存の試料分析が概ね終了した。これまでに海氷分布の経年変化に伴った動物プランクトン(特に小型種)の変動抽出、また分類群によって海氷状況に伴う分布様式が異なることが明らかとなりつつある。 南極海インド洋区の東経110度ラインにおいては、確立した資料精査方法に基づいて、最終年度である平成27年度に約30試料を分析し、これまでの処理データと合わせて30年以上にわたる中長期データの解析を行う計画である。これまでに得られたデータは、南極海インド洋区を主なフィールドとする豪州の研究者と定期的に会合を継続し、日豪研究成果統合について活発な議論を展開している。 以上のことから、本研究課題はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本応募課題は既存標本を対象とする地道な研究手法であるため、今後の兵法処理・解析は順調に経過するものと思われる。本年度は最終年度となるため、分析作業は必要最小限とし、研究結果の取りまとめを行なう。 分析作業は引き続き東経110度ラインにおける既存のモニタリング試料から約30試料の処理を目指し、30年以上にわたる動物プランクトン群集組成の中長期的データの解析を行なう。作業支援のための学生を雇用するとともに、外部のプランクトン分析業者に委託する予定である。分析作業は年度前半期に終了する事を目指す。 研究総括として、昭和基地周辺海域においては海氷分布と動物プランクトン群集のサイズとの関係を中心に取りまとめる。また東経110度ラインについては、確立した試料精査手順に従って再評価した中長期にわたるデータを用いて、動物プランクトン群集組成の変動抽出を目指し、その要因について考察する。得られた成果については、豪州共同研究者と議論する場を設けて研究成果統合について議論するとともに、すみやかに国内外の学会での発表、および投稿論文として公表を目指す。
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Research Products
(6 results)