2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23310019
|
Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
忽那 周三 独立行政法人産業技術総合研究所, 環境管理技術研究部門, 研究グループ長 (60344131)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小池 和英 独立行政法人産業技術総合研究所, 環境管理技術研究部門, 主任研究員 (10356959)
瀬戸口 修 独立行政法人産業技術総合研究所, 環境管理技術研究部門, 主任研究員 (00357328)
陳 亮 独立行政法人産業技術総合研究所, 環境化学技術研究部門, 主任研究員 (70371060)
|
Keywords | 沈着表面抵抗 / 水和反応 / 異相間物質移動 / アルデヒド / 大気質モデル / ヘンリー定数 / 吸着平衡定数 / 物質移動係数 |
Research Abstract |
大気質モデルで現在用いられる乾性沈着表面抵抗は、水への溶解性と水中の酸化力を指標としたスケーリング係数により評価され、大気成分の反応性や沈着表面の特性を十分に反映していない。本研究は、沈着表面抵抗のスケーリング係数の決定方法を提案して大気質モデルの改良に資することを目的とする。具体的には、アルデヒド類について、水、土壌成分等に対する沈着表面抵抗を室内実験で観察すると共に、関連物性データ等の観察と水表面反応の理論計算を行い、沈着表面抵抗と関連物性データ等の相関を明らかにし、スケーリング係数決定方法を提案する。開始年度である本年度は、以下の成果を得た。 ・磁気浮遊天秤とミラー式露点計を用いて、粘土鉱物試料等に対する吸湿等温線を重量法により観察した。相対湿度が80%以上では吸湿量が急増し、試料粉末間への水の凝集が粉末表面と細孔への吸着以外に起きること、試料表面・細孔・間隙の水を区別した実験条件の設定と解析が必要であることがわかった。 ・沈着表面抵抗を測定するためにストリッピング法実験装置を整備した。測定セルの撹拌翼の動力として磁気シールモーターを導入し、二酸化硫黄を用いて完全混合条件を調べた。ブロードバンドキャビティーリングダウン法によるホルムアルデヒドの測定装置の調整をほぼ終えた。また、ベンズアルデヒド等の観察のため自動切換6方バルブとGC-FIDからなる測定システムを導入した。 ・二相フロー実験装置の気相成分観察用多重反射セルとFTIRの光学系を再調整し、アセトアルデヒドの水への物質移動係数測定の高感度化を行った。 ・アルデヒド類の水和反応について、複数の水分子が触媒として働く水クラスター反応モデルを構築し、水和反応の活性化自由エネルギーの傾向を合理的に再現した。さらに構築したモデルを用いて、文献値がないアルデヒド類の水和反応速度を初めて決定した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
理論計算に関しては、おおむね順調に進展している。一方、室内実験に関しては、実験装置の整備に時間がかかったためやや遅れているが、実験装置の整備をほぼ終えて次年度以降本格的に観察データを蓄積する準備が整った。
|
Strategy for Future Research Activity |
ホルムアルデヒド等の大気濃度が高いアルデヒド類から観察データを蓄積する。アルデヒド類の沈着表面抵抗に密接に関係すると予想している水和反応を中心にして、沈着表面抵抗や物性データを観察した室内実験結果と水和反応の理論計算結果について、研究者間で活発に議論し、その結果を室内実験や理論計算の計画に柔軟に反映させる。
|
Research Products
(1 results)