2012 Fiscal Year Annual Research Report
個体群理論に基づく銀ナノ粒子の水環境生態リスク評価
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23310026
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
柏田 祥策 東洋大学, 生命科学部, 教授 (20370265)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 和哉 東洋大学, 生命科学部, 助教 (10581613)
坂本 正樹 富山県立大学, 工学部, 講師 (20580070)
廣津 直樹 東洋大学, 生命科学部, 准教授 (40584389)
立田 晴記 琉球大学, 農学部, 准教授 (50370268)
長坂 征治 東洋大学, 生命科学部, 准教授 (60534013)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 銀ナノ粒子 / 個体群理論 / 生態リスク評価 |
Research Abstract |
藻類では,銀ナノコロイド(SNC)と硝酸銀を用いて曝露実験を行い、SNCの毒性が銀イオンあるいはSNCの特性によるものか検討した。銀濃度をそろえた場合、SNCは硝酸銀と比較して毒性が低い結果が得られた。水生植物(イネ)では,特に根の伸長に与える影響を明らかにすることを目的とした。水耕栽培したイネ幼植物の水耕液にSNCを与えたところ、0.2 mg/L以上で濃度依存的に根の伸長が阻害された。ミジンコ急性遊泳阻害試験および繁殖阻害試験を行い,毒性を比較した.急性遊泳阻害試験では,SNCと硝酸銀のどちらに対してもD. galeataがD. magnaより高い感受性を示す傾向があった.繁殖阻害試験の結果から内的自然増加率を算出してSNCと硝酸銀の毒性を比較したところ,硝酸銀はSNCの10分の1程度の濃度で影響を及ぼすことがわかった. 下水処理場から採取した活性汚泥および人工排水を用い,SNCあるいは滅菌済みの銀ナノ粒子固相化プレート(SNPP)を用いて回分実験を行った。活性汚泥を添加後12 hにおいて,SNPPとSNC添加後0, 12, 24 h振盪した系でアンモニア酸化阻害が確認された。また,SNC添加後4, 12, 24 h振盪した系で亜硝酸酸化阻害がみられたとともに,全系においてコントロールと比較して硝酸態窒素濃度に有意な差があった(p<0.05)。メダカ孵化仔魚にをSNC(5.0 mg/L)に7日間曝露して試験してマイクロアレイ解析を行った結果,分析した5901遺伝子の中でシグナル伝達,タンパク質合成,転写および免疫反応に関連する102遺伝子の発現量が低下していた。一方,発現が低下した遺伝子と類似した機能をもつ別の51遺伝子では発現量が増加していた。SNCの再生産への影響を解析した結果,SNCは孵化数を大きく低下させることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度計画した実験についてはすべて順調に進んでいることから,上記のような評価となった。
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Strategy for Future Research Activity |
銀ナノ粒子の水環境生態系における挙動を解析(柏田)し,さらに銀ナノ粒子曝露が活性汚泥,水草,藻類,動物プランクトン群集,メダカそれぞれの個体群成長に与える影響を個体群理論に基づいて評価(立田)することで,水環境生態系における銀ナノ粒子の詳細かつ包括的なリスク評価を行う。とくに個体群理論解析を担当する立田との連携を最重要視して,より環境現実的な理論解析を行う。
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Research Products
(11 results)