2011 Fiscal Year Annual Research Report
腸管腫瘍における放射線発がんの標的細胞の同定と変異蓄積性
Project/Area Number |
23310036
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
木南 凌 新潟大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (40133615)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三嶋 行雄 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (30142029)
葛城 美徳 新潟大学, 医歯学系, 助教 (60401759)
廣瀬 哲史 新潟大学, 医歯学系, 助教 (10415276)
小幡 美貴 新潟大学, 医学部, 教務職員 (00420307)
|
Keywords | 放射線標的細胞 / 発がん母細胞 / 幹細胞 / 細胞の増殖と消失 / 腸管腫瘍 / 胸腺リンパ腫 / Bcl11b |
Research Abstract |
1.Lgr5発現細胞が放射線発がんの標的細胞となるかを検討する。Lgr5-Creマウス、Apc-min/+およびBcl11b-flox/+マウスとの交配を行い、最終目的とするLgr5-Cre;Bcl11b-flox/+;Apc-min/+遺伝子型マウスの作製を試みているところであり、その途中段階にある。一方、放射線発がん標的細胞の研究として、Lck-Cre;Bcl11b-flox/+マウスを利用し、胸腺リンパ腫系での検討を行った。骨髄内の幹細胞ではなく、胸腺内に存在する分化細胞がその標的となることがわかった。 2.Wnt/b-cateninシグナル系へのBcl11bの関与を検討する。この系をモニターするTOP/GALマウスに、Bcl11b-flox/91;Lgr5-Creを導入する実験も現在進行中である。しかし、Bcl11b-flox/flox;Lgr5-Creマウスは得られたので、非照射時でのCBC細胞(Lgr5を発現)、TA細胞の増殖影響を検討した。8週齢のマウス小腸ではBcl11b発現を消失したクリプトは約1/5に観察された。隣り合わせの組織標本でBrdU取り込み、Ki67染色を行ったが、発現-非発現クリプトで変化はなかった。また、組織構築にも異常はみられなかった。この結果は、Bcl11bが無くてもLgr5発現細胞は影響を受けないことを示す。 3.Bcl11b-KO/+マウスで照射後異常増殖する細胞(照射後停止がみられない)とLgr5発現細胞との関連性を明らかにする。Bcl11b-flox/+;Lgr5-Creマウスについて照射後のクリプト内でのLgr5発現細胞数の変化をKi67染色で調べた。Bcl11b染色が減弱したクリプト細胞でのKi67染色はシグナルの増大を示した。一方、GFP染色によるLgr5発現細胞についてはまだ結果は得られていない。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の中心に位置づけられているLgr5-Creマウスの繁殖、さらに交配したマウスの作製に時間がかかっており、計画の進行が遅れた。24年度には動物実験室の全面改修が予定され、さらなる遅れが危惧される。また、8週齢のBcl11b-flox/flox;Lgr5-Creマウスの小腸ではBcl11b発現を消失したクリプトは約1/5に観察されたが、発現と非発現クリプトの隣り合わせ組織標本で、細胞増殖に変化はみられなかった。この結果は、Bcl11bが無くてもLgr5発現細胞は影響を受けず、予想とは異なった。
|
Strategy for Future Research Activity |
Bcl11b-flox/flox;Lgr5-CreマウスではBcl11bが欠失するが、この条件下でもLgr5発現細胞は影響を受けなかった。これは計画書での予想と異なる。Bcl11b-flox/+;Lgr5-Creマウスでの解析が本研究の目的であるが、その結果に影響する可能性がある。今後注意深い実施と計画の修正を検討しながら実験を遂行する。 一方、マウスの繁殖に手間取っている。そこで、Lck-Cre;Bcl11b-flox/+マウスを利用し、放射線発がん標的細胞、母体細胞の同定、機序について、胸腺リンパ腫系での検討を加え、平行して行う方針である。この実験により、研究目標に到達できると考える。
|
Research Products
(5 results)