2012 Fiscal Year Annual Research Report
DNA二重鎖切断修復からアポトーシスへのシグナル変換における53BP1の機能解析
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23310041
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
岩淵 邦芳 金沢医科大学, 医学部, 教授 (10232696)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石垣 靖人 金沢医科大学, 総合医学研究所, 准教授 (20232275)
橋本 光正 金沢医科大学, 一般教育機構, 准教授 (70293975)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 53BP1 / p53 / スタウロスポリン / 修復 / DNA二重鎖切断 / アポトーシス / 核 / 分子生物学 |
Research Abstract |
p53結合蛋白質として見出された核蛋白質53BP1は、ヌクレオソームとの結合を介してDNA二重鎖切断部位に集積し、DNA損傷の修復に関与する。53BP1は、アポトーシス誘導因子p53に結合することからアポトーシスへの関与が予想されるが、アポトーシスにおける53BP1の機能についての解析はみられない。申請者は、Jurkat細胞をstaurosporine処理することで誘導されるDNA損傷非依存性アポトーシスにおいて、53BP1がカスパーゼにより切断され、ヌクレオソーム結合ドメインTudorを含むC末断片化されることを見出した。この現象は、X線照射で誘導されるDNA損傷依存性アポトーシスにおいてもみられた。本研究は、53BP1C末断片のアポトーシスにおける役割を明らかにすること、さらには53BP1のC末断片化を指標に、X線照射後の細胞が生存か死かの運命決定を下す時期、運命を決定づける要因(DNA損傷数なのか、損傷の質なのか、損傷を受けた細胞周期なのかなど)を明らかにすることを目的とする。本年度は、Jurkat以外の細胞株においても①アポトーシスの誘導にともない、核内に存在していた53BP1C末断片が、細胞質から細胞膜へ移行し、さらに細胞表層に露出すること、②同時に、二本鎖DNA断片、ヒストンH3、H4も細胞表面へ露出すること、③二本鎖DNA断片の細胞表面への露出が、部分的に53BP1依存性であることを明らかにした。これらのことから、アポトーシス細胞表面に露出した53BP1やヌクレオソームが、マクロファージによるアポトーシス細胞の貪食において、マクロファージに対するeat-me-signalあるいはfind-me-signalとして働く可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
X線照射後の細胞が生存か死かの運命決定を下す時期、運命を決定づける要因(DNA損傷数なのか、損傷の質なのか、損傷を受けた細胞周期なのかなど)を明らかにする計画が進行していないから。
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Strategy for Future Research Activity |
C末にEGFPを融合させた53BP1を発現させた細胞株を樹立する。この細胞株にX線を照射し、照射後の細胞をタイムラプス蛍光顕微鏡で観察することで、最終的に生存した細胞とアポトーシスへ移行した細胞で、照射後の53BP1の挙動に差があるか否かを調べる。二本鎖DNA断片、ヒストンH3、H4のアポトーシス細胞表面への露出が、53BP1のヌクレオソーム結合ドメインであるTudor domainと、ヒストンH3、H4との結合依存性であるか否かを明らかにする。
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Research Products
(12 results)