2011 Fiscal Year Annual Research Report
環境因子誘起性のエピジェネティック変異機序(DOHaD発生の分子機構解明)
Project/Area Number |
23310044
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大迫 誠一郎 東京大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (00274837)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 俊行 独立行政法人放射線医学総合研究所, 重粒子医科学センター, 室長 (90205667)
|
Keywords | エピジェネティクス / 環境汚染物質 / ダイオキシン / メチル化 / 発がん / P450 |
Research Abstract |
DOHaDは胎児などのナイーブな時期に生じた体の中の目に見えない素因が、成熟してからの病気への罹りやすさを左右するという仮説である。目に見えない素因としてエピジェネティックな変化が有力視されているが、その分子メカニズムを説明した報告はない。本研究では、1)周産期の生育環境の違いで生じる核内因子の機能変化が、エピジェネティックメモリーを変異させる分子機構の解明を目指す。また、2)環境毒性研究等コスト面で問題となる多検体解析に対応できる、ゲノムワイドの網羅的CpGメチル化変動解析法を独自考案し、本研究に適応する。 1)エピジェネティックメモリーを変異させる分子機構の解明:妊娠12日目のマウスにダイオキシン(TCDD)を単回投与すると肝臓のCYP1A1遺伝子プロモーターDNAが低メチル化し成熟後まで維持されることをすでの報告している。TCDDの投与後経時的に解析したところ、この低メチル化は生後3日目から生じ始めることがわかった。その際、メチル転移酵素の結合がTCDD投与群で低下すること、ヒストンH3の脱メチル化も生じることがChIPアッセイにより判明した。 2)ゲノムワイドの網羅的CpGメチル化変動解析法:メチル化感受性制限酵素で処理したゲノムDNAを考案した新しい方法で蛍光ラベルし、Amplified fragments length polymorphism(ALFP)法で解析した。予備的に組織間比較を行ったところ組織特異的メチル化部位を見つけることができたため方法論は確立できたものと思われる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
動物実験は多少遅れているものの、ゲノムワイドCpGメチル化解析法が順調に進行している。
|
Strategy for Future Research Activity |
1)エピジェネティックメモリーを変異させる分子機構の解明:マウス実験モデルは早期にエピジェネティック因子の遺伝子改変モデルの導入が必要だが、これまでのコンベンショナルな試験系で有意なデータが出つつあるため、標的解析遺伝子(ヒストン脱メチル化酵素)なども考慮して導入計画を進める。また、ES細胞などin vitroの分化システムの導入も考慮する。 2)ゲノムワイドの網羅的CpGメチル化変動解析法:メチル化網羅解析の開発は順調に進行しており、次年度中に本解析に入りたい。
|