2011 Fiscal Year Annual Research Report
効率的除去を目指した新奇硫化カルボニル分解酵素の高機能化
Project/Area Number |
23310051
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
片山 葉子 東京農工大学, 大学院・農学研究院, 教授 (90165415)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾高 雅文 東京農工大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (20224248)
野口 恵一 東京農工大学, 学術支援総合研究センター, 准教授 (00251588)
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Keywords | 硫化カルボニル / 致死性有毒ガス / 酵素分解処理 / 分子育種 / 結晶構造解析 |
Research Abstract |
硫化カルボニル(COS)を分解する新奇酵素COSaseの、触媒反応機構の解明およびその効率化を目的に、Thiobacillus thioparus THI115株から調製したCOSaseの分子育種、および新規COS分解微生物の探索を行ない、以下の成果を得た。【COSaseの分子育種】基質認識や触媒反応に関わるアミノ酸残基を特定するために、COSase単独ならびに基質類似化合物複合体のX線結晶構造解析を行ない、その立体構造情報を既知のCAの立体構造と比較することで、1)基質の結合および2)触媒サイクルに関与すると予想されるアミノ酸残基、3)基質認識に関与すると思われる基質系路を推定した。1)と3)の変異体を作成し触媒活性への影響を調べたところ、His-tagを用いると酵素活性は見られなかった。この結晶構造解析の結果、tagが基質系路入口近くに存在する可能性が示され、基質認識での重要性が支持された。His-tagにかわりGST-tagの融合タンパク質を得た。今後、tag除去酵素による活性評価を行なう。 【新規COS分解微生物の探索】森林土壌を中心に細菌および真菌を分離し、その中から高いCOS分解活性を有するものを選抜した。その結果、これまで調査のほとんど行なわれていなかった真菌においても、30 ppm COSを2時間以内で分解することが可能な、複数の菌株を見出すことができた。ITS領域にもとづく近縁種検索の結果、これらの分解真菌は特定の分類群への著しい偏りはなく、細菌の場合と同様にCOS分解活性は真菌の中に広く分布していることが予想された。これらの菌株の中にはCOSaseが分離されたT. thioparus THI115株のように、ppmvからpptvレベルのきわめて広範囲の濃度に対して分解活性を示すものが含まれていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度は節電の影響で、COSaseの良質な結晶調製の条件検討などに十分な時間を割けなかったが、本年度は時間配分を工夫する事で迅速化を図る計画である。その他については、突然変異体の作成が進んでおり、その活性評価についても見通しが得られている事、分解菌の分離についても順調に作業が進んでいる事から、上記の達成度とした。
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Strategy for Future Research Activity |
結晶構造解析結果をもとにした変異体の作成を継続し、COSaseの活性向上と安定化に関わる情報を得る事に努める。また、分解微生物については高濃度COSの発生が見られる火山ガス噴出孔周辺の土壌やバイオフィルムなどについても採取源を拡大することで、より高い分解活性を保持した微生物の取得を試みる。
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Research Products
(17 results)