2011 Fiscal Year Annual Research Report
水プラズマを新しい反応場として利用する廃棄物処理プロセスの開発
Project/Area Number |
23310052
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
渡辺 隆行 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 准教授 (40191770)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
茂田 正哉 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教 (30431521)
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Keywords | 水プラズマ / 熱プラズマ / 廃棄物処理 / エマルション / フェノール水溶液 / アーク変動 / OHラジカル / CHラジカル |
Research Abstract |
プラズマによる廃棄物処理の優位性(難分解性物質の処理が可能,大量処理が可能)を活用し,プラズマ中に豊富に存在するOHラジカル,酸素ラジカル,水素ラジカルを用いて,副生成物の抑制を目的とした廃棄物分解システムを開発することを本研究の目的とする。 直流放電にて水のみから成る熱プラズマを用いて,有機系物質を分解するシステムを作製した。従来は水溶性の有機物の分解を行っていたが,今回は難水溶性物質の1-デカノールを0/Wエマルションとして分解処理を行うシステムを開発した。1万□の高温のプラズマ中における分解プロセス,1千□程度の領域における副生成物の再合成プロセスの反応機構を明らかにした。また,排水処理を目的として,フェノール水溶液を水プラズマによって分解することに成功し,その分解機構を明らかにした。次に,PCBの模擬物質としてジクロロベンゼンを水プラズマによって分解するシステムを作製した。 水プラズマの発生の大出力化を行うために,水プラズマの発生機構と電極現象の解明のための実験を行った。大出力化のためには,アーク電極の消耗を低減化することが必要であるので,ハフニウム,モリブデンなどの金属を陰極として水プラズマを発生し,そのアーク変動と電極消耗を調べた。その結果,水プラズマは数十kHzで変動し,その変動周波数が電極現象を解明するために重要なパラメータであることを明らかにした。 さらに水プラズマ中の反応場の挙動を解明するために,水プラズマの発光分析を行った。有機物は水プラズマ中で迅速に分解されるが,その中間物質としてCHラジカルとCH_3ラジカルの生成を確認し,これらが副生成物発生に重要な役割を果たすと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
水プラズマの有機物の分解に関しては,難水溶性物質をエマルションにして分解する方法,排水処理のためのフェノール水溶液の分解システムの開発など、予想以上の成果があった。しかし,水プラズマによる数値解析に関してはプログラムの作成にはとりかかったが,まだ成果が出ていない。以上の点を鑑み,「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
水プラズマの有機物分解実験に関しては,今後も様々物質での分解挙動を調べ,その分解挙動をプラズマ中の分光計測,分解後の気体と液体生成物の分析を行うことで,新しい反応場としての水プラズマを化学的に解明する予定である。水プラズマの数値解析については,当初予想していたよりも物性値等のデータが複雑でやや遅れているが,実験から得られたプラズマの温度分布等を利用することで,大きな問題はなく解決できる見込みである。
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Research Products
(13 results)