2012 Fiscal Year Annual Research Report
反応性官能基含有刺激感応性高分子を用いる高効率排水浄化システムの実用化
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23310054
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
齋藤 徹 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40186945)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上原 伸夫 宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50203469)
高貝 慶隆 福島大学, 共生システム理工学類, 准教授 (70399773)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 温度感応性高分子 / 反応性官能基 / 界面活性剤 / 高度濃縮技術 / 環境汚染物質 / 排水浄化 / センシング技術 / 質量分析 |
Research Abstract |
1.排水及び環境水中微量金属イオン及び有機汚染物質の高感度分離分析技術の開発: 微量であっても生態系への影響が大きな水中有機汚染物質の簡便・迅速かつ高感度な計測技術を検討した。チオール化合物については金コロイド-温度感応性高分子系によるセンシングシステム、抗菌剤については蛍光消光現象の利用、抗菌剤については温度感応性高分子抽出やカスケード型分離濃縮技術の適用により、環境水は排水中の極微量成分の高感度計測のための手法を確立した。 2.反応性官能基導入温度感応性高分子の調製と汚染物質除去: 昨年度に創案したアミノ基含有温度感応性高分子を用いる排水中有機汚染物質の迅速除去技術の実用性を、モデル排水を用いて確認した。二次排水から調製されたモデル排水においては、溶存有機物濃度によらず、フェノール性化合物やエストロゲンがほぼ完全に除去された。また、高分子のアミノ基のイミノ二酢酸基への誘導化により、わずかな添加量で様々な金属イオンを迅速に捕集できる高分子が調製された。いずれの場合も高分子は低含水率の小塊に凝集し、処理後の水から容易に分離回収された。 3.高分子電解質-界面活性剤凝集系の設計と有機汚染物質の迅速除去: ポリアリルアミンとアニオン界面活性剤の混合凝集系と酵素反応の組み合わせによるフェノール性化合物及びエストロゲンの迅速除去技術や界面活性剤と気泡により凝集・浮上分離させる手法を創案し、抗菌剤を含む様々な有機汚染物質への適用をはかったところ、広範な薬剤の捕集除去への有用性が示された。また、金属酸化物や粘土鉱物と界面活性剤の組み合わせによる抗菌剤の捕集・低環境負荷分解の可能性を見出した。液体クロマトグラフ-質量分析計を用いる解析により、抗菌剤の捕集や分解の機構が解明されつつあり、本法の実用化のためのシステムの設計指針が得られることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
反応性官能基を有する高分子の凝集系を設計し、従来の排水処理技術では効果的に除去されてこなかった様々な有機汚染物質を迅速かつ高効率に除去できるようになった。また、官能基をさらに誘導体化することにより、目的物質の捕集に適した高分子分離媒体を設計できることがわかった。さらに、界面活性剤の添加による凝集系と酵素反応の組み合わせにより、フェノール性薬物やエストロゲンの除去にも成功し、モデル排水を用いた排水浄化への適用性を確認した。対象物質のモニタリングのための複数の分離分析技術の一層の進展があった。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 環境水及び排水中微量汚染物質の高度濃縮分離・高感度センシング技術の開発: 温度感応性高分子の凝集による高度濃縮及びカスケード型分離による超高度濃縮と液体クロマトグラフ-蛍光検出、液体クロマトグラフ-質量分析を組み合わせ、環境水や排水中の薬剤を始めとする様々な有機汚染物質の高感度分離分析技術を確立する。また、刺激感応性高分子とナノ粒子の複合媒体を基盤としたセンシング技術の適用性の拡大とともに実用化を検討する。 2. 化学形態の特定と微視的環境評価による捕集機構の解明と処理技術の溶液化学的設計: 昨年度の液体クロマトグラフ-質量分析による化学形態の特定と蛍光分子プローブ法よる凝集系の微視的環境評価により、テトラサイクリン系抗菌剤が錯形成とイオン対形成及び疎水環境形成の組み合わせにより捕集されることが判明した。今後は、質量分析による解析法を様々な薬剤やデオドラントに適用し、平衡論と速度論の両面から除去機構と適用性を明らかにする。前世紀に飛躍的発展を果たし完成されたと考えられている水処理における溶液化学を再構築し、高効率・低環境負荷処理技術の継続的な発展の方向性を見出す。 3.実用的凝集プロセスの設計と排水中抗菌剤及びエストロゲンの迅速除去: 実プロセスへの適用に向けて曝気、濾過、攪拌の影響を調べる。さらに、曝気時に発生する気液界面への吸着に基づくイオン浮選の仕組みを積極的に導入し、迅速化と省力化をはかる。さらに、酵素反応の導入によりエストロゲンやフェノール性薬剤を活性中間体に変換し、高分子の反応性官能基に化学的に結合させ、アニオン界面活性剤共存下曝気過程で凝集物を回収する。現行プロセスにおける単位操作を本法に合わせ、実用的処理プロセスとして設計する。
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[Journal Article] Development of metal-isolable polymer-gel sorbent for mutual separation of Ti,V,Zr,Nb,Mo,Ta,and W2012
Author(s)
T. Kato, S. Igarashi, T. Horiguchi, Y. Takagai, O. Ohno, M. Butsugan, H. Yamaguchi
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Journal Title
Journal of MMIJ
Volume: 128
Pages: 248-254
Peer Reviewed
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