2011 Fiscal Year Annual Research Report
嫌気微生物の脱塩素活性を高める固体電子メディエータの化学構造と活性化機構の解明
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23310055
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
片山 新太 名古屋大学, エコトピア科学研究所, 教授 (60185808)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 大典 名古屋大学, エコトピア科学研究所, 助教 (10591076)
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Keywords | 腐植物質 / 電子メディエータ / 還元的脱ハロゲン反応 / ペンタクロロフェノール / 13C-NMR / サイクリックボルタンメトリ / ESR / FT-IR |
Research Abstract |
有機ハロゲン化合物による地圏環境汚染を浄化するため、脱ハロゲン化能力を持つ嫌気微生物の活性を高める細胞外電子メディエータに関する研究を行った。地圏環境中に広く存在する主要電子メディエータは、水に不溶の腐植(フミン)質と考えられるが、これまでの研究の殆どは水溶性電子メディエータに限られてきた。これに対し、本件九チームは、多くの国で表層水および地下水の基準にリストされているペンタクロロフェノール(PCP)を対象に、その還元的脱塩素反応を促進する固体電子メディエータの働きを見いだした。そこで、固体電子メディエータの化学的実態とその還元的脱ハロゲン活性化機構の解明を行った。 各種土壌および底質から得られる水に不溶の腐植物質画分の還元的PCP脱塩素反応に対する促進効果を調べ、水に不溶の腐植物質画分が固体電子メディエータとして、士壌および水環境中に広く分布することを明らかにした。水に不溶の腐植物質画分を、さらに化学的処理を行って改質したものを嫌気性PCP脱塩素反応に対する効果を調べることによって、固体電子メディエータ能力がその有機物の部分に存在することを明らかにした。電子メディエータ能力は、サイクリックボルタンメトリによっても確認された。また、各種分光分析(ESR、FT-IR、13C-NMR)によってキノン骨格を持つ有機物が電子メディエータ能力を担っていることが示唆された。蛍光顕微鏡による観察により、殆どの嫌気的PCP脱塩素微生物群が水に不溶の腐植物質画分の有機物の部分に付着していることが観察され、固体電子メディエータ能力が有機物部分に存在するとの推定とよく一致した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成23年度に計画した固体電子メディエータの化学構造と還元的脱ハロゲン化活性化の機構の一端を解明することに成功し、この成果を論文にまとめて環境分野の一流学術誌に投稿するところまで研究1年間で進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の研究によって固体電子目ディエータの化学構造と還元的脱ハロゲン化活性化の機構の一端を明らかにすることができたが、それは複数のメディエータの一部であることも同時に示唆された。そこで、2年目の研究では、さらに有機電子メディエータ、無機電子メディエータ、有機-無機複合体に分画して更に詳細な化学構造分析を行うとともに、電気化学的に酸化還元反応を行うことによって還元的PCP脱塩素反応に対する電子メディエータ機能を評価する。こうして電子メディエータ能力を持つ化学構造を推定し、更にその化学構造を有するモデル化合物を用いて電子メディエータ候補化合物を合成し、その働きの解析することによって、固体電子メディエータの実態を解明する計画である。
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Research Products
(6 results)
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[Presentation] Anaerobic degradation of aromatic compounds by microorganisms in paddy2011
Author(s)
Katayama, A., Yoshida, N., Shibata, A., Baba, D., Yang, S., Li, Z., Kim, H., Zhang, C., Suzuki, D
Organizer
KSEA's 30th Anniversary International Symposium on Environment and Food Safety for the Future Generation
Place of Presentation
the international Convention Center Jeju, Korea(Invited)
Year and Date
20110707-20110709