2011 Fiscal Year Annual Research Report
バイオポリエステル分子量低下機構の解明と高分子量体合成への応用
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23310060
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
柘植 丈治 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 准教授 (70332260)
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Keywords | ポリヒドロキシアルカン酸 / バチルス属細菌 / 分子量 / エンド型分解 / 組換え大腸菌 / PHA重合酵素 |
Research Abstract |
グラム陽性細菌Bacillus cereusが有するバイオポリエステル(PHA)重合酵素が、PHAの重合活性と共にエンド型の分解活性を有していることを見出した。このような重合酵素によるPHAの分解は、B.cereus系の重合酵素以外では報告されていない新規な現象である。一方で、B.cereus由来重合酵素は、大腸菌内で多量のPHAを合成できる優れた酵素でもある。本研究では、この酵素によるPHA分解機構を分子レベルで明らかにし、分解活性が抑制された重合酵素の創出、そして、高分子量体PHA合成に応用することを目的としている。 平成23年度は、B.cereusとB.megateriumの2つクラスIVに属するPHA重合酵素に着目して実験を行った。これらの細菌が有するPHA重合酵素は、B.cereusおよびB.megateriumのそれぞれの近縁種間では非常に高い相同性(99%)を有するが、B.cereus-B.megaterium間の相同性は若干低下する(70%)。これまでに、B.cereus YB-4株の遺伝子をクローニングし、大腸菌内でPHA合成を行ったところ、PHAの分子量が経時的に低下することを確認している。一方で、B.megateriumの遺伝子についてもクローニングし、大腸菌内でPHA合成に利用したが、B.megateriumの酵素では分子量の低下は確認することができなかった。そこで、PhaC_<Bc>。とPhaR_<Bm>、および、PhaC_<Bm>とPhaR_<Bc>、(添字は由来を表す)を組み合わせたサブユニット置換型酵素を作成し、大腸菌内で発現させPHAの分子量の変化を調べた。その結果、PhaC_<Bc>、サブユニットを有する酵素においてのみ、PHAの顕著な分子量低下が観察され、このことから、PhaC_<Bc>、サブユニットに分解活性が備わっていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に分解活性はPhaCサブユニットにあることを突き止めることができ、また、分解活性抑制のための手掛かりを得ることができた。よって、研究はおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、(1)インビトロ系での分子量低下現象の再現、(2)分解における活性中心サイトの同定を目的として検討を進める。(1)に関して、精製した重合酵素を用いてポリマーの重合を行い、その分子量の経時変化を測定することを試みる。(2)に関して、分解の活性中心はシステインとアスパラギン酸で構成されていると予想している。既に、システイン残基は同定済みであるため、今年度はもう一方の活性残基であるアスパラギン酸について同定を行う。
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Research Products
(6 results)