2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23310076
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小川 琢治 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80169185)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 啓文 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教 (90373191)
田中 大輔 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教 (60589399)
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Keywords | 単分子電子素子 / 負の微分抵抗 / メモリ / 閾値素子 / スピン制御 |
Research Abstract |
機能性単一分子の電子機能とその構造の関係を明らかにすることを目的としている。特に、分子自体が荷電状態を取ることができる系を用いることで、負の微分抵抗、メモリー、スイッチング、閾値素子、磁気抵抗、スピン制御スイッチなどの機能を単一~少数の分子で実現することを目指している。 今年度の成果は次の通りである。 1.カーボンナノチューブにPMo12040分子を吸着した系を電導性原子間力顕微鏡で測定したところ、負の微分抵抗が見られた。同じ系を約1マイクロメートルの金ギャップ電極間にキャストしてネットワーク構造を作り、その電極間でのI-Vを測定したところ、やはり負の微分抵抗が見られることがわかった。これにより、負の微分抵抗ネットワークができていると考え、3次元的に観測するためにこの系の上部に電界発光層を作ることを検討中である。 2.単一分子での磁気抵抗、スピン制御などを目的として、種々のポルフィリンでテルビウム錯体を作成した。TPP,OEPなどのポルフィリンにおいては、プロトンが付いた形では単一分子磁石にならないが、アニオン体においては、単一分子となることを見いだした。また、プロトン体に光照射をするとラジカル体になることも見いだしたので、非磁石→磁石の切り替えが可能である。 3.複雑な分子系を容易に食成するたのに、鈴木カップリング、園頭カップリングを基本反応とする、逐次反応を行うためのポルフィリン誘導体の合成を行った。この反応を用いて3量体までのポルフィリンアレイを自由に作れる事を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度に完成する予定の、プレークジャンクション法計測機器が、実際に設計を初めて見ると当初予想していなかったいくつかの問題点(組み込む予定の極低温プローバーの冷凍能力が実際はカタログ値ほど無いことが判明したなど)が有ることが判明し、年度内に完成しなかった。測定対象の分子合成については、予定通りに進行した。
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Strategy for Future Research Activity |
測定装置の完成が遅れたために、初年度は実際の計測結果を得ることができなかった。当初期待していた低温を必要としない計画に変更して、次年度は研究を進めたい。低温を必要としない研究については、当初の予定通りに勧めることが可能である。また、ブレークジャンクション以外の測定方法についても、検討を行う。
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