2011 Fiscal Year Annual Research Report
アディポカイン迅速測定用マイクロチップの開発と糖尿病早期診断への応用
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23310093
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
片岡 正俊 独立行政法人産業技術総合研究所, 健康工学研究部門, 研究グループ長 (20224438)
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Keywords | マイクロチップ / サンドイッチELISA / アディポカイン / IL-6 / TNF-α |
Research Abstract |
アディポカイン迅速測定用マイクロチップ基板作製のため、まず環状ポリオレフィン基板に作製した幅300μm、深さ100μmのマイクロ流路上に微細化インクジェットを用いて抗体固定を行い、マイクロ流路でのサンドイッチELISA法の確立を行った。血中の骨粗鬆症マーカーであるI型プロコラーゲンC末端プロペプチド(PICP)に対する一次抗体を微細化インクジェットでマイクロ流路表面に吐出・固定しサンドイッチEHSA法にて血中PICPの測定を行った。その結果、96穴ELISAプレートを用いる既存穂と比較して同等の正確性と日内および日間再現性を有し、血漿量は1/70、測定時間は1/6(30分)、一次抗体量は1/10000と迅速・省サンプルな血中タンパク質の定量検出が可能な測定系を構築した(PLoS One 2011,6:e18807)。このマイクロチップ基板でのサンドイッチELISA法を用いて、アディポカインのうち特に血中濃度がpg/ml単位と極微量しか血中に存在しない炎症性サイトカインであるIL-6およびTNF-αについて、迅速・省サンプルな定量検出系の構築を行った。IL-6およびTNF-αともに、同一チャンネルあるいはチャンネル間の測定においいてRSDは10%以内と高い再現性を示した。さらに、それぞれのサイトカインで検出感度2pg/mlで32pg/mまで十分に臨床的基準値の範囲で定量的検出が可能となり、また日内再現性および日間再現性も10%以内と既存法と同程度の高い再現性を認めた。一枚のマイクロチップ基板に複数のマイクロ流路を作製して、各流路に抗IL-6一次抗体と抗TNF-α一次抗体を吐出・固定化を行った後に、各流路でヒト血液を導入して血中サイトカイン量を測定、それぞれ既存96穴ELISA法から得られる血中濃度と比較検討した。その結果、既存法から算出した血中濃度と有意差なく正確に一枚のマイクロチップ基板で同時に血中IL-6およびTNF-αが35分の抗原抗体反応時間で測定され、迅速・省サンプルなマルチ検出系が構築された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マイクロチップ基板上でのサンドイッチELISA法を構築しており(PLoS One 2011,6:e18807)、このマイクロチップ法を用いてIL-6およびTNF-αの血中に極微量しか存在しないサイトカインについても迅速・省サンプルにマルチ解析が可能なことを確認した。今後は、本測定法でOγTT時の系時的アディポカイン発現変動を測定・解析する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
アディポカイン測定チップ技術の構築を行ったため、今年度以降は大学等の臨床機関と協力を行いOGTT時の系時的アディポカイン測定を行う。
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Research Products
(3 results)