2011 Fiscal Year Annual Research Report
気相成長法による配向性平面六方晶窒化ホウ素薄膜の研究
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23310096
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
渡邊 賢司 独立行政法人物質・材料研究機構, 光・電子材料ユニット, 主幹研究員 (20343840)
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Keywords | 結晶成長 / 六方晶窒化ホウ素 / グラフェン / 配向性基板 / 気相成長法 / 電子デバイス |
Research Abstract |
平成23年度は、既存の窒化ホウ素のための化学気相成長装置を改造および整備した。本装置は、III族原子供給源としてのジボラン(B2H6)およびV族原子供給源としてアンモニア(NH3)を用い、基板温度を最高1000℃以下にて成長させる装置であり、既存の特殊材料ガス供給系および排気ガス除害装置に接続されている。震災以後、点検保守をされていなかったので、配管の気密試験および排ガスセンサーなどの正常動作点検などを慎重に進める必要があった。また、成長時の基板温度の最適化を図るために従来1000℃以下での条件に限られていた基板加熱装置を改造し、新たにヒータ加熱装置を導入しアンモニアガス雰囲気下で1000度以上での成長ができるようにした。新たに導入したヒータ式加熱装置は、業者の動作保証は1000℃であるが、アンモニアガス雰囲気中で1300℃まで対応ができるものである。基板温度により成長表面状態および不純物取り込みが大きく変化する傾向があるので、現在最適化を行っているところである。また、基板導入用の真空室を新たに設けるためにターボ分子ポンプを導入した。成長室の真空雰囲気を壊さずに試料の出し入れができるので、運用効率が上がるのみならず、不純物制御にも効果が期待できる。 六方晶窒化ホウ素の基板応用面では、スピン流によるグラフェンシートの磁化や特異なホットキャリアの振る舞いの発見などグラフェン2次元電子系基礎物理の進展におおいに寄与した。六方晶窒化ホウ素基板は窒素原子とホウ素原子のsp2構造からなる2次元平面結晶構造は原子層面上に非結合状態等を持たず、かつ絶縁体であるので、グラフェンの電子物性を調べるのには好適な場を提供することができることを数多くの実験で検証している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者らの研究機関は茨城県にあり、震災の影響は0ではなかったが、研究遂行に必要な安全措置として重要な排ガス除害装置および特殊材料ガス供給系に大きな損傷はなく、ほぼ計画通りに成長装置の改造および立ち上げを達成している。
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Strategy for Future Research Activity |
高純度窒化ホウ素の成長には、基板温度の最適化が必要で、現在の1300℃でもまだ必要十分であるとは言いがたいことがわかってきた。これ以上の温度を得ようとすると通常のヒータ加熱では難しく、また誘導加熱では装置に大幅な改造を必要とする。そこで今年度は赤外線レーザによる加熱方式を検討および導入することを計画している。本装置の導入により幅広い温度領域でいろいろな成長条件を試すことができる。
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Research Products
(14 results)