2011 Fiscal Year Annual Research Report
半導体マクロアトムにおける弾性フォノン波を用いた量子相関フォトニクス
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23310097
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Research Institution | NTT Basic Research Laboratories |
Principal Investigator |
後藤 秀樹 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 量子光物性研究部, 主幹研究員 (10393795)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
館野 功太 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 量子光物性研究部, 主任研究員 (20393796)
章 国強 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 量子光物性研究部, 研究主任 (90402247)
俵 毅彦 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 量子光物性研究部, 主任研究員 (40393798)
眞田 治樹 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 量子光物性研究部, 研究主任 (50417094)
小野満 恒二 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 量子電子物性研究部, 研究主任 (30350466)
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Keywords | 量子ドット / メゾスコピック系 / 量子コンピュータ / 光物性 |
Research Abstract |
研究項目1:スピン初期化および回転・検出 単一マクロアトムにおけるスピン量子ビット実現に向け、静磁場を用いない単一スピン初期化法を確立させる。 スピン量子ビットには、スピンの向きの偏極化(初期化)、その偏極の操作(回転)および偏極の検出が必要である。H23年度には、偏光ポンピングと呼ばれる原理を用い、荷電励起子(電子1個と励起子1個の結合状態)の偏光特性を利用して初期化を試みた。初期化度は、荷電励起子を生成するレーザの状態に強く依存し、適切な条件を選択すると高い偏極度(0.8以上)を実現できることが分かった。 研究項目2:弾性フォノン波を用いた励起子輸送 マクロアトムのペア間に、弾性フォノン波である表面弾性波を発生させて励起子を輸送し、光学技術によって検出する。 実験では、マクロアトム試料の基本構造である、量子井戸構造に表面弾性波誘起用の電極を作製し、光励起によって励起子を生成して、その輸送を試みた。とくに励起子を構成するスピンのコヒーレンス(干渉度)の評価を行った。スピンのコヒーレンスは、伝搬方向と弾性波強度に依存することが分かった。これは、スピン方向の操作や、コヒーレンスの制御の実現につながる成果である。 研究項目3:高制御性マクロアトム形成 ナノワイヤ技術を用いて、高制御性単一マクロアトムを実現する。高制御性とは、マクロアトムサイズ、形成位置、物性が高度に設計可能なものを指す。今年度は、ヘテロ界面の急峻性の向上に集中して取り組み、各種作製条件の高度な制御を行い、急峻なヘテロ界面を得るための指針を得た。また、従来とは異なり、ナノワイヤを構成する元素を触媒とするナノワイヤ成長に取り組み、高品質なInPナノワイヤが得られる条件を明らかにした。これは、光デバイス機能実現に必要な、高い発光効率を有するナノワイヤ作製に向けての基本技術となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3つの要素研究で進展が見られ、それぞれ成果を外部発表するまで至っている。マクロアトム形成に関しては、当初の計画には含まれない成果が得られている。「研究の目的」に記載されている、各要素研究の組み合わせに向けて各要素技術の高度化も進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き各要素研究を進め、得られた成果をタイムリーに報告する。並行して、要素研究どうしの融合を進めていく。特に、要素研究1と2の組み合わせについて具体的手順を検討する。要素研究3に関しては、計画に記載した技術と今期に新たに得られた技術を複数の観点から検討し、研究進展に対してより効果的な技術を確立させる。
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Research Products
(13 results)