2012 Fiscal Year Annual Research Report
半導体マクロアトムにおける弾性フォノン波を用いた量子相関フォトニクス
Project/Area Number |
23310097
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Research Institution | NTT Basic Research Laboratories |
Principal Investigator |
後藤 秀樹 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 量子光物性研究部, 主幹研究員 (10393795)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
舘野 功太 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 量子光物性研究部, 主任研究員 (20393796)
小野満 恒二 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 機能物質科学研究部, 主任研究員 (30350466)
俵 毅彦 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 量子光物性研究部, 主任研究員 (40393798)
眞田 治樹 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 量子光物性研究部, 研究主任 (50417094)
寒川 哲臣 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 量子光物性研究部, 主席研究員 (70211993)
章 国強 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 量子光物性研究部, 研究主任 (90402247)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 量子ドット / メゾスコピック系 / 量子コンピュータ / 光物性 |
Research Abstract |
(研究項目1:スピン初期化および回転・検出)単一マクロアトムにおけるスピン量子ビット実現に向け、静磁場を用いない単一スピン操作法を確立させる。スピン量子ビットには、スピンの向きの偏極化(初期化)、その偏極の操作(回転)および偏極の検出が必要である。H24年度は、マクロアトムの荷電励起子における偏光ポンピングを用いた実験結果を理論的に解析した。解析によって、初期化度は、荷電励起子を生成するレーザのエネルギーおよび偏光状態によって制御可能で、実験では0.9程度の初期化度となっていることを明らかにした。 (研究項目2:弾性フォノン波を用いた励起子輸送)マクロアトムのペア間に、弾性フォノン波を発生させて励起子を輸送し、光学技術によって検出する。実験では、マクロアトム試料の基本構造である、量子井戸構造に表面弾性波誘起用の電極を作製し、光励起によりスピン偏極した励起子を生成して、輸送した。弾性波中では、励起子を構成する電子のスピンの評価が可能となる。輸送中にスピンが回転することを観測し、外部磁場を印加した実験結果から、電子スピンにスピン軌道相互作用に起因する有効磁場が働いていることを明らかにした。これは、スピン方向の任意操作や、相関測定実現につながる重要な成果である。 (研究項目3:高制御性マクロアトム形成)III-V族化合物半導体ナノワイヤ作製技術を用いて、高制御性単一マクロアトムを実現する。高制御性とは、サイズ、形成位置、物性が高度に設計可能なものを指す。今年度は、ヘテロ構造の高品質化に取り組み、V族成長原料ガスによってヘテロ構造の組成制御性が大きく変化することを明らかにした。また、ナノワイヤを構成する元素を触媒とするナノワイヤ成長を発展させ、高品質なInAsナノワイヤの成長に成功した。これらは、研究目的である相関計測に必要な、高い発光効率を有するナノワイヤ実現のための基本技術となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3つの要素研究で進展が見られ、それぞれの成果を会議および論文で発表するまで至っている。弾性フォノン波を用いた輸送に関しては、当初の計画には含まれないが、重要な成果が得られ、論文発表に加えて、報道発表も行った。各要素研究の組み合わせに向けて、基本となる技術も蓄積されてきている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き各要素研究を進め、得られた成果をタイムリーに会議や論文で発表するとともに特許化も推進する。並行して、要素研究どうしの融合を進めていく。特に、要素研究1と2の組み合わせについて具体的手順を検討するが、個別研究として、スピン回転については基本的技術の立ち上げを進める。要素研究3に関しては、要素研究2との融合のために最適な構造を作製し、全体の計画を迅速に進められるよう配慮する。
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