2012 Fiscal Year Annual Research Report
金融システム破綻の経済損失とそのリスクに関する統一的定量化モデルの開発
Project/Area Number |
23310098
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鈴木 輝好 北海道大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (90360891)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木島 正明 首都大学東京, 社会(科)学研究科, 教授 (00186222)
石井 利昌 北海道大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (30324487)
後藤 允 北海道大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (30434286)
西出 勝正 横浜国立大学, 国際社会科学研究院, 准教授 (40410683)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ファイナンス |
Research Abstract |
科研費国際シンポジウム「ファイナンス理論の新展開と金融リスク管理」を開催した.招待講演者として海外研究者7名(Albert Shiryaev, Moscow State University, Konstantin Borovkov, The University of Melbourne, Juri Hinz, University of Technology Sydney, Yuri Kabanov, U.F.R. des Sciences et Technologie, Alex Novikov, University of Technology Sydney, Martin Larsson, Cornell University, Lioudmila Vostrikova, Angers University)を招き,一般講演と合わせて合計13件の研究が発表された.不足する資金は別途,研究経費などにより補った. 研究代表者は,債務の持ち合い下における金融システミックリスクの計測とその管理に関して新しい手法を提案した.後藤は,システミックリスクへの応用を念頭にして,リアルオプションの応用問題に関する研究を行なった。特に、設備投資問題を確率制御アプローチによって厳密に解く新しい研究に取り組んだ。石井は,グラフ・ネットワーク構造を有する離散最適化問題に対し,主に次の二つの結果(i)(ii)を得た.(i) 耐故障性の基準の一つである連結度を保証するネットワーク構成問題に対し,近似アルゴリズムの開発と近似の困難さの解析を行った.(ii) 無線通信ネットワークにおける周波数割当問題をモデル化したグラフのラベル付け問題に対するアルゴリズムの開発及び構造解析を行った.西出は,論文を新たに3本完成させた.幾つかの学会で当該論文を報告するとともに査読付論文雑誌に投稿している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究課題の目的,システマティックリスク指標の提案に向けて,準備は順調に進んでいる.研究代表者と西出は,債務と株式を持ち合う状況下におけるペイオフの決定メカニズムについて明らかにしつつある.また,その際の計算アルゴリズムについても高速化を実現させるための準備が整いつつある.石井は,ネットワーク理論に基づいた,金融リスクの評価についての準備を進めた.
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Strategy for Future Research Activity |
バランスシートが複雑に依存しあう状況における,ペイオフの確定は容易ではない.特にデフォルトコストがある場合について,より複雑になる.この問題を解決しつつあるので,今後は,ペイオフ確定の高速アルゴリズムの提案,そしてシステマティックリスク指標の提案と研究を進める.
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