2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23310105
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
鈴木 秀男 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (10282328)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | サービス・マーケティング / サービス品質 / 顧客満足度 / スポーツ・マーケティング / ソーシャル・マーケティング |
Research Abstract |
ParasuramanらのSERVQUAL、Bradyらのサービス品質評価に関する3次の階層モデル、Graceらのブランド評価モデルを踏まえて、新たなサービス品質評価モデルを構築した。対象としては、スポーツチーム(プロ野球チーム、Jリーグクラブ、早慶サッカーチーム)とし、スタジアムでの実地調査を行い、2012年6月から10月にかけてスタジアム来場者に対するアンケート調査を行った。スポーツビジネスの特徴を考慮した上で、ブランドエビデンス、口コミ、満足度、ブランド態度、ロイヤルティの構成概念間の共分散構造分析を行った。その結果、ブランドエビデンス→満足度→ブランド態度のパスが高度に有意となった。また、ベイジアンネットワーク分析による因果分析も試みた。条件確率表および感度分析から「ファンとチームの一体感」が「試合観戦意向」に強く影響を与えていることが分かった。 同様に、それらのサービス品質評価モデルを踏まえて、ACSIに基づくプロ野球およびJリーグの満足度指数モデルの構築を行い、顧客満足度を中心とした構成概念のスコア化を行った。従来の研究成果を利用し、2009年1月下旬から2013年1月下旬のインターネット調査結果による満足度指数モデルおよび各概念スコアの経年変化の考察を行った。総合満足度に対してファンサービス・地域貢献の影響が大きく、特にプロ野球においてその傾向が強い。さらに、経験価値やオピニオン・リーダの概念の有効性の検証を行った。 その他のサービス事例として、投資信託におけるサービス品質と顧客満足度の関係を検証した。「直販」「窓販」の販売形態の違いが因果構造にどのように影響を与えるかに着目した。サービス品質の構造としてはSERVQUALを仮定した。全体的な傾向としてサービス品質要素である「信頼性」の顧客満足度への影響が強く、特に「直販」にその傾向が見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
サービス品質・顧客満足度の評価モデルの関係性について、実証研究は順調に進展している。満足度スコア等の経年変化の検証により、モデルの信頼性が向上している。ベイジアンネットワーク分析による因果分析の検証も行っている。さらに、本評価モデルの考え方を投資信託のサービスに適用し、実証を行った。 サービス品質および顧客満足度の評価モデルの拡張、インターネット上の情報の収集と分析については、まだ発展途上であり、さらなる研究の推進が必要である。 なお、本研究の成果を国内外の学会で発表している。プロスポーツ事例における研究成果は、マスコミからの反響も大きく、新聞等で取り上げられている。
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Strategy for Future Research Activity |
サービス品質・顧客満足度の評価モデルの高度化と実証の継続を行う。プロスポーツを事例にしたサービス品質・顧客満足度の評価モデルについては、プロ野球球団、Jリーグクラブの協力の下で調査を実施し、応用の観点から助言をもらう。 インターネット上の情報、経営成果指標との関係性の実証を行うために、関連データの収集を継続的に行う。インターネット上の情報形態が変わりつつあり、それらを考慮した分析フレームワークが必要である。 因果モデルの推定法についても、引き続きベイジアンネットワーク分析の活用と有効性を検証する。
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Research Products
(4 results)