2013 Fiscal Year Annual Research Report
企業のコーポレートアクションと金融資産価格変動に関する研究
Project/Area Number |
23310106
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
高橋 大志 慶應義塾大学, 経営管理研究科, 准教授 (60420478)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | シミュレーション工学 / 金融論 / エージェント / ファイナンス / 行動経済学 |
Research Abstract |
本研究では,エージェントベースモデルおよび現実のデータに基づく実証分析を通じ,企業のコーポレートアクションが金融市場に与える影響について分析を行う.はじめに,本研究で構築した既存のデータベースの拡張を行った後,それら構築した環境の下での分析を実施した.近年,情報処理技術の進展などを背景として,分析対象可能な情報が多様化している.これらを背景として,テキストデータなども対象に含めデータベースの拡張を行った. 次いで,構築したデータベースを基に実証分析を実施した.本年度においては,コーポレートアクションに関する重要な情報の一つである企業経営者の見通しに焦点を当てた分析を実施した.分析の結果,当期純利益が,前期比増益の場合,債券の累積超過収益率に変化が見られないのに対し,減益の場合は累積超過収益率がマイナスとなる傾向にあることを見出した.更に,当期減益の場合は,経営者の翌期利益が減益予想で,格付が低い場合に,累積超過収益率のマイナスが大きくなる傾向にあること,また,これらの傾向は社債市場独自のものであり,株式市場とは異なることなどを見出している.これらの結果は,コーポレートアクションに対する市場の評価に関し興味深い結果を示すものである. 更に,エージェントベースモデルを通じた分析においては,投資家に課された規制がマーケットにもたらす影響に焦点を当てた分析を行い,規制と資産価格の関連性について興味深い結果を得た.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は,近年の情報処理技術の進展を背景としテキスト情報も含めたデータベースの整備拡張を実施した.更に,当分析環境における実証分析およびエージェントベースモデルによる分析において企業のコーポレートアクションがもたらす影響に関し興味深い結論を見出しており,当初の計画以上に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに構築したデータベースを整備拡張し,構築したデータベースを基に実証分析を実施する予定である.とりわけ,主要なコーポレートアクションの一つである利益還元政策に焦点を当てた分析を実施する予定である.更に,機関投資家のヒアリング,実証分析において得られた知見等を基に,金融市場と関連したエージェントベースモデルによる分析を実施の予定である.
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