2011 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロ電極と赤外線顕微鏡を用いたリチウムイオン二次電池の安全性評価技術
Project/Area Number |
23310107
|
Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
仁科 辰夫 山形大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (60172673)
|
Keywords | 安全工学 / リチウム電池 / マイクロ電極 / 内部短絡 / 赤外線顕微鏡 |
Research Abstract |
本研究の目的は、リチウムイオン二次電池(LiSB)の安全性に関して、微小な試料で安全に発火・爆発事故に至る過程を検証するため、ガラスキャピラリーに金属細線をシールしたマイクロ電極を擬似金属片異物とし、内部短絡状態を制御した状態で観察評価する新規評価技術の研究開発を行うことにあり、以下の目的を設定している。 1.発火・爆発事故に至る過程を安全に検証するためのマイクロ電極観察・評価装置の製作 2.正極活物質コンポジット、負極活物質コンポジット、セパレータの発熱過程をデジタル顕微鏡、赤外線顕微鏡を用いてビデオ観察し、本研究で提案するマイクロ電極を擬似金属片異物としたリチウムイオン二次電池安全性評価法の有効性の実証 3.異物がAl,Fe,Ni,ステンレスで、どれだけ内部短絡を誘発する程度が違うのか数値化する この中で、本年度は1.のマイクロ電極の作成に注力する予定であったが、東日本大震災の影響により、機器の故障が発生し、その修理・調整に手間取った。特に微細加工系の機器とマイクロマニピュレーション系の故障・不調が相次ぎ、難儀している。これまでの経験を生かして10μm径のPtマイクロ電極の作成はなんとかできるところまで復旧した。 この不測の事態もあり、別途リチウム電池系の電極劣化状況を把握するための新たな原理を並行して探り、電流休止法における電池電圧の過渡応答を高精度に表現するための関数の導出と評価アルゴリズムの発見・開発に成功した。この技術により、リチウム電池の劣化はセパレータ部の劣化よりも電極構造の劣化が主因であり、正極コンポジット電極の集電体からの剥離と活物質/導電助材界面の剥離が内部抵抗増加の主要部分を占めており、これにより発熱の増大を誘起していることがほぼ確実なものとしてクローズアップすることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
東日本大震災の影響により、研究に使用する現有設備・機器の故障・不調が相次ぎ、その復旧・調整に手間取ったためである。
|
Strategy for Future Research Activity |
東日本大震災の影響による遅れを取り戻すべく、当初の計画に沿って研究を進めていく予定である。リチウム電池電極の劣化に対する高精度な新規評価法を発見・開発したので、それを駆使することにより電極サンプルの適切な取得を時間短縮することが可能であり、しかも内部抵抗の増加の度合いをあらかじめ評価済みにできるので、研究の進捗に貢献するものと期待している。
|