2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23310108
|
Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
岡 泰資 横浜国立大学, 環境情報研究院, 准教授 (10240764)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡 秀行 独立行政法人海上技術安全研究所, 海洋リスク評価系システム安全技術研究グループ, 研究員 (80399518)
|
Keywords | 火災感知 / 傾斜天井 / 天井流 |
Research Abstract |
火災の早期発見は,避難,消火・救助活動等を迅速に行うきっかけを与え,火災による被害拡大防止へ繋がる。天井下に設置された火災感知器やスプリンクラーなどは,天井流の温度や煙濃度を感知し作動することから,熱や煙の移流拡散の推進力となる天井流の流れ性状を把握することは非常に重要である。既に滑らかな水平天井下を流れる天井流については,有用な知見が得られているが,傾斜天井下を流れる天井流の性状は十分に解明されていない。 そこで,無限天井を模擬した2.5m(D)×3.0m(W)の吊り天井を用いた火災実験を実施した。火源から傾斜天井までの鉛直高さは1.0mとし,1辺0.15mと0.285mの正方火皿を使用した。燃料にはn-ヘプタンを用いた。天井の傾斜角度は0,10,20,30,40°の5段階変化させた。天井流内の温度は素線径0.2mmのK型熱電対ツリーによって,速度は粒子画像流速計にて測定した。 実験の結果,以下の5つの事項が明らかとなった。火源から発生した熱気流が傾斜天井に衝突した位置から傾斜天井に沿って上流側へ流れる熱気流の温度・速度の流動距離に対する減衰性状を示す関係式を提案した。天井流内の詳細な温度分布・速度分布の計測結果をもとに,天井流の厚みを算出し,この厚みへの傾斜角度の影響を考慮した関係式を導いた。天井流内の温度分布・速度分布を,指数関数に基づく手法と3次関数と座標変換に基づく手法の2種類の手法で試み,角度の依存性を加味した分布式を導いた。傾斜した天井に沿って上昇する熱気流内の温度上昇と速度の関係を明らかにした。傾斜天井に沿って上流側へ流れる熱気流のフルード数およびリチャードソン数の天井傾斜角度および移動距離に対する依存性を明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
天井流の天井を示す変数として天井流性状を示す物理量として,移動距離に対する温度減衰,速度減衰,最高温度・最高速度の呈示位置および厚み(天井下面から最高値の1/eとなる位置までの距離として定義)を取り上げ,模型実験結果をもとに各変数に対する天井角度の影響を考慮した関係式を提案した。これらの関係式が実規模に対しても適用可能かを確認する必要がある。また,数値計算による天井流の流れ性状予測にも取り組んでいるが,十分な結果が得られていない。
|
Strategy for Future Research Activity |
実験的検討では,模型実験結果をもとに導出した関係式の実大規模への適用の可否の確認,天井流の周辺空気の巻き込み量の算出を実施する。なお,煙濃度の測定においては,測定器の小型化が必要であることからさらなる検討が必要である。 また数値実験による検討では,オープンソースコードであるFDSへの構造関数モデルとWALEモデルの組み込みは完了したことから,これらモデルの性能評価と,天井流れへの適用を行う。
|
Research Products
(1 results)