Research Abstract |
山体重力変形の生じた斜面を対象として,高品質ボーリングコアの観察・記載方法を確立し,重力による岩石の変形の特徴と初生地すべりへの発達過程を解明するため,以下の事項の研究を実施した。対象とした岩石は,片岩および頁岩・砂岩である。 1)高品質ボーリングコアの観察・記載方法の確立 不撹乱で採取された高品質ボーリングコアについて,構造地質学的な手法と知見を用いて,破断面の形状,破砕による細粒化の程度,破砕部と非破砕部との移り変わり,割れ目の開口などに注目した観察・記載方法を確立し,また,この方法を一般的に使用可能なものとした. 2)重力による岩石の変形の特徴と初生地すべりへの発達過程の解明 重力による岩石の変形の特徴づけ:テクトニックに形成された変形構造や断層と,重力による変形構造やすべり層とを比較し,それらを区別する特徴を見出し,重力による構造を特徴づけた. i)すべり層の構造の解明:すべり層の構造を詳細解析して明らかにし,岩石が重力によって変形し,破砕,粉砕されてすべり層が形成されていく過程を明らかにした. ii)すべり層の側方成長,発達過程の解明:すべり層が斜面内のどのような位置に形成を始め,斜面内に成長していくのか,明らかにした.また,その発達は河川による下刻と密接に関係していることが明らかになった。 iii)すべり層の構造と側方連続性とのリンク:すべり層の構造的特徴とすべり層の側方への連続性を検討した。その最,ボアホールテレビ画像を活用した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した研究目的達成のために,同申請書に記載した事項を順調に達成した。また,その結果は,学術論文と国際研究発表会において公表した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画の通り,平成23年度に実施した研究をさらに発展させるとともに,高品質ボーリングコアをX線CTを用いて観察する。また,斜面の安定性に関する数値シミュレーションを行い,河川の下刻が周辺斜面の重力変形に及ぼす影響を分析する。
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