2012 Fiscal Year Annual Research Report
5ヒドロキシメチルシトシンの解析:ゲノムワイドマッピングと結合タンパク質の探索
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23310130
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 隆司 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (90201326)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ヒドロキシメチルシトシン |
Research Abstract |
哺乳類ゲノムDNAの塩基修飾として、シトシンの5位のヒドロキシメチル化が見出され、新しいエピジェネティックマークとして注目を集めている。しかし、ゲノム内におけるその分布はまだ明らかにされておらず、これを認識する分子機構も全く理解されていない。そこで、本研究ではこれらの問題に迫るために、1)5ヒドロキシメチルシトシン(5hmC)の位置をゲノムワイドに一塩基解像度で同定する方法、2)ヒドロキシメチル化DNAを認識するタンパク質を同定する酵母1ハイブリッド法、の2つの独自技術を開発する。 1)については、細菌由来のDNAメチレース(M.HhaI, M.SssI)をS-adenosyl-methionine (SAM)非存在下で作用させることで、脱ヒドロキシメチル化を起こす方法に検討を加えたが、効率が上昇しないためにこれを断念し、以下の手法の検討に注力した。 ①タングステン酸化物による5hmCの変換:岡本らによる報告の追試に成功したが、変換産物である5hmU-glycolがDNA合成酵素の伸長を阻害する現象が見出された。trans-lesion型酵素の利用が有効であることを示す結果が得られ、適切な酵素類の選択の重要性が示唆された。 ②ルテニウムによる5hmCの酸化:Boothらによって報告された過ルテニウム酸による酸化反応に検討を加えて、安定な変換を起こす条件を探ると同時に、DNA収率の低下を招かない方法へのヒントも得られた。これらを我々独自のバイサルファイトシーケンス技術であるPBAT法と組み合わせることで有効な手法の開発を目指している。 2)については、その後の研究環境の変化から、1)を優先することにして、一旦、中断した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
第一の課題に集中して開発を進めたが、市販の酵素類が、当初期待した程の活性を示さなかったり予想外の挙動を示したために、手法の開発に手間取り思うように進まなかった。その一方で5hmCを変換する新しい化学反応が相次いで報告されたこともあり、それらの検証に時間を要した。その影響で第二の課題への着手も遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の動静から判断するに、第一の課題の重要性が高まり競争も激化しており、こちらに専念する。化学的変換反応や酵素反応を利用しながら、我々独自のバイサルファイトシーケンス技術であるPBAT法と上手にカップリングさせることで、実用レベルの技術を開発する。と同時に、メチル化に比較して修飾率の低いヒドロキシメチル化の変化をより正確に把握するために、ターゲットエンリッチメントとも組み合わせた手法の開発を進める。
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Research Products
(1 results)