2011 Fiscal Year Annual Research Report
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23310139
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
栗崎 晃 独立行政法人産業技術総合研究所, 幹細胞工学研究センター, 研究チーム長 (60346616)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 由郎 独立行政法人産業技術総合研究所, 幹細胞工学研究センター, 産総研特別研究員 (30455430)
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Keywords | 幹細胞 / ES細胞 / iPS細胞 / 分化 |
Research Abstract |
分化した細胞から多分化能を持つ未分化ES細胞様の細胞(iPS細胞)を作成することが可能になったが、実際にはこのような方法で作成したiPS細胞を元にしても、未だ分化のしくみが十分解明されていない多くの分化段階を慎重にコントロールしながら目的細胞を作成するのは容易ではない。特定の細胞についてあたかも初期胚から成体までの発生段階を試験管内で再現するかのように、多段階の分化制御を完全にコントロールし定量的な分化細胞を作成するのは現状では困難な作業であり、リーズナブルなコストと十分な完成度で実用化するには非常に多くの技術的課題を解決せねばならない。我々は、目的組織にのみに分化する組織細胞を成体体細胞から直接作成する分化転換方法を開発する方法を開発することで、上記の問題点を解決すべく研究を開始した。本研究では、特に、肺を構成する細胞を作成する方法を開発することを目的にしている。まず最初に、マウスの肺及び食道、消化管組織からRNAを抽出し、肺特異的に発現する遺伝子群をマイクロアレイ解析により同定した。その中で、特に特異性が高く十分な発現量のある因子や文献上関与が示唆されている因子20個についてウイルスベクターにクローニングした。現在、繊維芽細胞にこれらのウイルスを感染させ、肺関連細胞へと分化するか解析作業を開始している。また、ES細胞からの分化も並行して行うため、先行論文に基づき、ES細胞から内胚葉細胞を分化させ、その後、先方内胚葉細胞、さらにその先の肺方向への細胞分化条件の検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画の転写因子候補遺伝子群を、マイクロアレイ解析とバイオインフォマティックスを駆使して選定するところは順調にクリアし、さらに計画通りウイルスベクターも構築完了し、また、評価実験系が動くことも確認完了したことから順調に進展していると結論した。
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Strategy for Future Research Activity |
肺細胞を作成するのに必要な転写因子因子群を十分絞り込み、本当にそれらの転写因子で目的細胞を分化できたのか、免疫組織化学的、遺伝子発現、分化能について検証することで、真の転写因子群が同定できたか確認する予定である。さらにこれをクリアした場合、作成した細胞をSCIDマウスに移植し、in vivoで機能する細胞かどうかも検証する。
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