2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23310139
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
栗崎 晃 独立行政法人産業技術総合研究所, 幹細胞工学研究センター, 研究チーム長 (60346616)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 幹細胞 / iPS細胞 / 分化 / 再生 |
Research Abstract |
本研究では、肺を構成する細胞を作製する方法を開発する。まず肺特異的に発現する遺伝子群をマイクロアレイ解析により同定し、特に特異性が高く十分な発現量のある因子や文献上関与が示唆されている因子14個を用いて、繊維芽細胞にこれらのウイルスを感染させた。肺前駆細胞のマーカーであるNkx2.1の発現を指標に解析を行ったところ、4つの転写因子を導入することにより、Nkx2.1陽性の細胞が出現する条件が確認できた。現在、この細胞の機能性について確認中である。一方、ES細胞からの肺細胞分化も行うため、先行論文に基づき、ES細胞から内胚葉細胞を分化させ、その後、先方内胚葉細胞、さらにその先の肺方向への細胞分化条件の検討した。12種類の細胞増殖因子を様々な濃度で処理することにより、肺胞上皮I型細胞、II型細胞、繊毛細胞、粘液分泌細胞、基底細胞、クララ細胞などの分化特異性を検討した。その結果、BMP4がマウスES細胞をin vitroで肺細胞へ分化させる場合に極めて重要な抑制因子であることが明らかとなった。BMPの阻害剤であるnogginは、肺前駆細胞で発現するNkx2.1の発現を上昇させた。また、アクチビンは中胚葉と内胚葉マーカー遺伝子の発現上昇と共にNkx2.1の発現を上昇させる活性を示した。nodalはより特異的な影響を示し、中胚葉マーカー遺伝子の発現上昇を伴うことなく内胚葉マーカー遺伝子の発現上昇とNkx2.1の発現を上昇させた。高濃度のFGF1またはFGF2で処理しても、Nkx2.1の発現を上昇させることができた。一方、成熟肺細胞については、BMP4は、濃度依存的に肺細胞の分化を制御していることが示された。本結果をまとめ、論文で誌上発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画の転写因子候補遺伝子群を、マイクロアレイ解析とバイオインフォマティックスを駆使して選定後、線維芽細胞から肺前駆細胞を作製する因子の組合せを見出し、現在、作製した細胞の機能を検証中である。また、ES細胞から肺組織細胞を分化させるための細胞増殖因子の検討結果をまとめ、誌上発表するなど、研究は順調に進展していると結論した。
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Strategy for Future Research Activity |
繊維芽細胞に肺分化制御遺伝子を搭載したウイルスを感染させ、肺関連細胞へと分化させる方法に目途がつきつつあるため、このようにして作製した肺細胞が機能性細胞かどうかin vitro及びin vivoで検証する必要がある。さらに、他に必要因子があるかどうかについても検討する予定である。
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