2011 Fiscal Year Annual Research Report
生物活性天然環状デプシペプチドを基軸とするペプチドミメティクスの創製
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23310145
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
土井 隆行 東北大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (90212076)
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Keywords | 環状デプシペプチド / ペプチドミメティクス / 化合物ライブラリー / 生物活性天然物 / 固相合成 / 非天然型アミノ酸 / マクロラクタム化 |
Research Abstract |
アプラトキシンAのペプチドミメティス創製:アプラトキシンAは25員環デプシペプチドで,ガン細胞に対する極めて高い細胞毒性をもつ。我々はすでに収束的な合成ルートによる全合成を達成している。本研究では,脂肪鎖部位を基軸に様々な環化様式で連結した環状ペプチドミメティクスを設計,合成する。アプラトキシンAの脂肪鎖に含まれる4つの不斉中心炭素を立体選択的に構築してヒドロキシカルボン酸部位を合成した。N-末端とプロリンと縮合し,共通の合成中間体とした。C-末端にはチアゾリン導入のための修飾システインを縮合し,続いてメタ位,およびパラ位で連結したヘテロ環含有アミノ酸を導入した。また,チアゾリンを含まないものについては直接フェニルエーテル含有アミノ酸と縮合した。すべての環化前駆体についてプロリンのN-末端でのマクロラクタム化を行い,計9種類のアプラトキシンAミメティクスの合成に成功した。 ボーベリオライドIIIのペプチドミメティクスの高機能化:ボーベリオライドIIIは13員環デプシペプチドであり,マクロファージの泡沫化を阻害する。我々はすでに類縁体のライブラリー合成を行い,生物活性の発現にはペプチド側鎖の空間配置が重要であることを明らかにしている。しかし,標的タンパク質ACATの三次元構造は不明であるため,タンパク質の構造からの阻害剤設計は難しい。そこで,天然物の構造をモチーフに6員環およびビシクロ環上にボーベリオライドIIIのペプチド側鎖と類似の空間配置をとりうるように置換基を配置した化合物を設計し,固相合成によりそれらミメティクス類を迅速に合成できる手法の開発研究を行った。固相上にアセタールリンカーを介し,アミン,α-アルキル-β-アミノ酸,D-アミノ酸を順次縮合した。固相から切り出し,分子内環化を行い,ミメティクスを合成する手法を確立した。今後本手法を用いて誘導体を合成する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
東北地方の震災の影響で3ヶ月実験が滞ったため,予定以上の成果にまでは至らなかったが,研究の方向性は間違っておらず,予定した成果がでている。
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Strategy for Future Research Activity |
確立した合成法をもとに,類縁体を迅速合成するとともに,生物活性の評価を行う。それらの相互評価により化合物の構造の最適化を図る。
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