2011 Fiscal Year Annual Research Report
シガトキシン同族体の網羅的合成とその基礎・応用研究
Project/Area Number |
23310146
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
平間 正博 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10142077)
|
Keywords | シガトキシン / 抗体 / ナトリウムチャネル / イムノアッセイ |
Research Abstract |
CTX1Bの全合成については、新規に開発した(Z)-ビニルスルポキシドへのラジカル付加反応を活用して、左側セグメントを228ミリグラム合成することに成功した。実践的な第三世代CTX1B全合成法を確立するため、この左セグメントと右側セグメントとのカップリングを検討した。しかし、右側セグメント・フェニルスルフィドのクロル化が効率よく進行せず、カップリング収率が低迷した。生成した副生成物から、微量の水(湿気)が原因と考えられたので、モデル実験も含めて、さまざまに試薬の精製、フラスコ内雰囲気や化合物の乾燥等を検討した。しかし、十分に改善されなかった。残る可能性は、複数の水酸基の保護基として用いているナフチルメチル基の反応・分解である。この問題の解明は、次年度(平成24年度)の課題とする。しかし、反応条件を変えて少量ずつ実験を繰り返した結果、最高26%の収率でカップリング生成物が得られた。さらに合成を進め、0.145mgのCTX1Bが全合成できた。H-NMRもC-NMRも測定できたので、来年度、余裕があれば、更に合成する予定である。 また、A環側鎖がジエンのCTX4Bの全合成と抗体調製を目指して、CTX1B左セグメント側鎖の還元的オレフィン化を検討し、見事に成功した。それをハプテンとするタンパク質コンジュゲートの作成を検討中であり、次年度にCTX4B(4A)左部分を認識する抗体調製に着手する準備ができた。右セグメントとカップリングして、全合成も進める。 C-CTX全合成最大の課題であった核間ジメチル基を持ったM環の合成は大変困難であったが、光反応を利用することによって十分量のフラグメント供給がついに可能になった。左セグメントの合成には他の問題も出て来たので、来年度、環連結法の問題を解決したい。O,s-アセタールを重要中間体とする縮環エーテル合成法を最大限に利用して、左側セグメントの改良合成に成功した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CTX1Bの再全合成に成功したが、目標であった1ミリグラムの合成を達成することはできなかった。 C-CTXの全合成も、左セグメントの効率的合成は完成したが、新たな問題、即ち、右セグメントのJKL環構築の意外な困難に直面し、まだ解決できていない。抗体を利用したイムノアッセイ法の高感度化は着々と進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
CTX1Bの全合成については、右側セグメント・フェニルスルフィドのクロル化が効率よく進行せず、カップリング収率が低迷した。生成した副生成物から、微量の水(湿気)が原因と考えられたので、モデル実験も含めて、さまざまに試薬の精製、フラスコ内雰囲気や化合物の乾燥等を検討した。しかし、十分に改善されなかった。残る可能性は、複数の水酸基の保護基として用いているナフチルメチル基の反応・分解である。この問題の解明のためには、保護基の変更が必要である。次年度(平成24年度)の課題として、モデル実験によって検討する。その後、人的パワーが許せば、来年度、更にCTX1Bの全合成を進める予定である。 また、CTX4B(4A)左部分を認識する抗体調製に着手する。右セグメントとカップリングして、全合成も進める。 C-CTX左セグメントの合成には新たな問題も出て来たので、来年度、環連結法の問題を解決したい。
|
Research Products
(32 results)