2012 Fiscal Year Annual Research Report
シガトキシン同族体の網羅的合成とその基礎・応用研究
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23310146
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
平間 正博 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 名誉教授 (10142077)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | シガトキシン / 抗体 / ナトリウムチャネル / イムノアッセイ |
Research Abstract |
シガトキシンは世界最大の自然毒食中毒シガテラの原因物質である。シガトキシンの完全化学合成を達成して、原因毒分析に必要な標準サンプルの供給、抗シガトキシン抗体の作製、毒魚検定法開発によってシガテラ中毒の予防・治療に貢献することを目的とする。 本年度は、カリビアンシガトキシン(C-CTX)の合成を大きく進展させることができた。昨年度までHI環部とLM環部の連結を検討してきたが、既存の方法は、実用的レベルに達しなかった。そこで、合成計画を大幅に見直し、IJ環部での連結を考案した。その結果、HIJKL環部の効率的な構築に成功した。C-CTX全合成最大の懸案を解決できたことになる。既に確立したLMN環部合成法と併せて、右側H-N環セグメントを合成、更に左側セグメントと連結して全合成を検討中である。 CTX4Bの合成については、左右両フラグメントの合成法を開発済みであるが、両セグメントのカップリングの再現性が課題である。精査の結果、右側セグメントのクロル化が問題であることが判明した。塩素化剤としてN-クロロスクシンイミドとN-クロロフタルイミドを再検討した結果、モデル化合物では良い結果を得た。しかし、実際に両セグメントの連結に適用してみると、収率は十分に改善されなかった。複数の水酸基の保護基として用いているナフチルメチル基が反応・分解して低収率に留まっている可能性が高いと推定される。来年度は連結法の見直しも含めて、全シガトキシン類の実用的全合成を完成させたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
C-CTXのHIJKL環部連結法をついに開発した。連結部位をIJ環部に変更して、我々が開発した(Z)-ビニルスルホキシドへのラジカル付加反応を利用することによって、実践的な合成法を確立できた。 CTX4Bの合成は、左右セグメントのカップリングの問題が未解決のままであり、目標であった全合成を達成することはできなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、シガトキシン検出法の実用性を高めるため、サンドイッチイムノアッセイ法を高感度化する。即ち、従来、発色法として西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)を使用してきたが、アルカリホスファターゼ(ALP)に変更して検出システムを改良する。これにより、数pg/mLオーダーでの高感度検出を実現する。 また、C-CTXとCTX4B(4A)の全合成を強力に推し進める。最近、ついにC-CTX右側セグメントの連結法を開発した。右セグメントの大量合成の後、左セグメントとカップリングして、全合成を完成する。CTX4Bの左右セグメントのカップリングも、C-CTX合成で得られた知見に基づいて改良し、全合成を目指す。
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Research Products
(14 results)