2011 Fiscal Year Annual Research Report
天然物を基軸とする脳神経再生のためのケミカルバイオロジー研究
Project/Area Number |
23310149
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
荒井 緑 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 准教授 (40373261)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石橋 正己 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 教授 (90212927)
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Keywords | 天然物 / ケミカルバイオロジー / 神経幹細胞 / コンビナトリアルケミストリー / 有機合成化学 / bHLH転写因子 |
Research Abstract |
本研究は神経再生医薬に結びつく化合物,あるいは神経幹細胞の増殖・分化メカニズムを解明しうる有用化合物を,天然物を軸とし発見,創製することを目的としている.本研究は,次の(1)~(3)の三つの研究軸を柱に包括的な天然物ケミカルバイオロジーによる神経再生化合物の発見・創製に取り組んでいる本年度の詳細な成果は以下の通りである. (1)天然物様化合物の創製:本年度は標的骨格のひとつである当研究室で単離した新規天然物Fuligocandin A,Bの改良合成を行い,高い光学純度で天然物および誘導体を合成することに成功した.ライブラリー合成をめざし固相合成の条件を種々検討し,Fuligocandin A誘導体の固相での合成に成功し,ライブラリー構築の手前まで進んでいる.Fuligocandin BのRIラベル体を用いるin vivo体内動態の解析も行った.また,ヘテロ環を有するシクロペンタベンゾフラン天然物の合成にも成功した. (2)タンパク質アッセイ法の開発による活性化合物の発見・創製:神経幹細胞の分化に関わる転写因子Hes1担持ビーズを用いる,迅速的天然物探索法の開発に成功し,すでに活性な天然物2種の単離に成功した.それらのHes1阻害活性を見いだし,さらに細胞内での作用解明に取り組んだ.これらの化合物は神経幹細胞の分化促進活性を有していた. (3)細胞を用いたbHLH因子転写活性アッセイ法の構築による活性化合物の発見・創製:Notch-Hes1経路を標的とした細胞を用いるスクリーニングアッセイ系を構築するべく,様々な検討を行った.すでに構築しているbHLHプロモーター活性スクリーニングにおいて,神経幹細胞の分化を活性化する天然物を単離,構造を同定した.これら天然物の作用機序を,リアルタイムPCR実験を用いて検討し,興味深い結果を得た.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
天然物様化合物ライブラリーの固相合成検討は順調に進んでおり,当研究室で単離した天然物Fuhgocandin A誘導体の固相での合成に成功し,ライブラリー構築の手前まで進んでいる.また,タンパク質を用いる天然物単離方法の構築では,Hes1担持ビーズを用いる,迅速的天然物探索法の開発に成功し,すでに活性な天然物の単離に成功し,その作用解明に取り組んでおり,細胞内での作用機序解明でも結果を得ている.これらのことから,とても順調に成果を挙げていると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の結果をもとに,引き続き天然物様化合物のライブラリー合成,神経幹細胞に関わるタンパク質およびシグナルを標的としたアッセイ法の構築とそれを用いる活性天然物の単離・構造決定を行う.得られた天然物および合成化合物について,神経幹細胞における分化促進活性を順次,評価し,その作用機序を明らかにする.
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