2011 Fiscal Year Annual Research Report
超好熱生物の遺伝情報はどのように守られ、伝達されるのか?
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23310152
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
石野 良純 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (30346837)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
跡見 晴幸 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90243047)
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Keywords | 超好熱性アーキア / DNA複製 / 生体高分子 / DNA修復 / レプリソーム |
Research Abstract |
昨年度にクローニングした、Thermococcus kodakaraensisの3種のmcm遺伝子のうち、mcm3遺伝子は破壊株が得られず、生存に必須の遺伝子であることが推定された。他の二つは必須ではないものの、細胞内では産生されていることを確認した。従って、Mcm1, Mcm2タンパク質の細胞内での機能は何なのか大変興味が持たれる。 DNA 修復のどこかの過程で機能していることを考えて研究を進めている。発現させた Mcm蛋白質は高純度に精製して、in vitroにおける活性を測定した。3種のMcmは、どれもそれら自身でヘリカーゼ活性を示した。また、 GINSタンパク質との相互作用も示すので、Mcm1, Mxm2 は Mcm3 とともに DNA代謝の何か重要な機能を担っていることが予想され、その解明を目指している。 また、T. kodakarensisの近縁種であるPyrococcus furiosus由来のタンパク質について、これまでに、PCNA-DNA-DNAリガーゼ複合体やPCNA-DNA-DNAポリメラーゼ複合体、さらに、ウラシルグリコシラーゼ-DNA-APエンドヌクラーゼ-PCNA という塩基除去修復に関わる複合体について、機能と構造の関係を解明して来た。さらに本課題では、T. kodakaraensis, P. furiosusを用いて複製ヘリカーゼ複合体の解明を目指しているが、MCM-GINSに、RecJ様のタンパク質が安定に結合することを見出した。GINSは、RecJ様タンパク質の有するエキソヌクレアーゼ活性を促進することも発見した。この促進作用の生理的な意味を明らかにするとともに、このMCM-GINS-Cdc45複合体が複製ヘリカーゼとして重要であることを予想して、その構造解析を進めている。複合体を高純度に調製して、結晶化、電子顕微鏡観察などへ進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究では多くのDNA関連酵素の活性測定を行う必要があるが、その際にはDNA基質の純度が悪いと、結果の正確な判定がむずかしくなる。そのために、昨年度の予算を繰り越して、 DNAを精製するための装置を購入した。その結果、常時高純度のDNAが得られるようになり、研究の進展に大変役立った。研究内容は、二種類のPCNA,三種類のMCMの役割分担を解明すること、さらに、それらとの特異的相互作用因子を調べ、分子機構解析を発展させること、また、修復にかかわる種々の酵素の性質解析とその機能的役割について、進展させた。
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Strategy for Future Research Activity |
アーキアの遺伝情報が如何に守られているかを解明するための方向として、アーキアの持つ DNA修復機構の解析は大変重要なので、新規に発見した3種の酵素の高純度精製法の確立、生化学的性質解析、結晶化、X線構造解析、遺伝子破壊株作成と変異体の解析について、精力的に進めていく。
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