2014 Fiscal Year Annual Research Report
イリジウム錯体をプローブとする細胞内オルガネラ酸素濃度計測法の開発
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23310157
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
飛田 成史 群馬大学, 大学院理工学府, 教授 (30164007)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉原 利忠 群馬大学, 大学院理工学府, 助教 (10375561)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 酸素プローブ / イリジウム錯体 / 低酸素 / りん光 / ミトコンドリア |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに設計、合成した3種類のイリジウム錯体BTQ-Mito、BTQSA、BTQDMは、培養細胞の培養液に添加すると効率よく細胞内に取り込まれ、それぞれ主に細胞内のミトコンドリア、小胞体、ライソソームに集積性をもつことが明らかにされている。これらのオルガネラ選択的酸素プローブを用いて、HeLa細胞、MCF-7細胞の顕微鏡下におけるりん光寿命測定を行った。励起光にはYAGレーザーの第2高調波(波長532 nm、パルス幅1 ns、繰り返し20 kHz)を用い、発光の減衰は時間相関単一光子計数法に基づいて測定した。その結果、培養器の酸素分圧が通常の20 %の条件では、どのプローブも約 1.0マイクロ秒の寿命を与え、酸素分圧2.5 %では寿命が約2.0マイクロ秒となり、低酸素下で顕著な増加を示した。この結果から、細胞に取り込まれたイリジウム錯体のりん光寿命が溶液中と同様に酸素濃度に応答していることが確認できた。次に酸素分圧が20 %の下で培養シャーレに高純度オイルを静注し、細胞への酸素の供給を遮断したところ、徐々に寿命の増加が観測され、細胞による酸素の消費によって細胞内の酸素濃度が添加していることが確認できた。さらに細胞中のミトコンドリアのプロトン濃度勾配を解消する脱共役剤として、valinomycin、細胞中のミトコンドリアの複合体Ⅲを破壊する呼吸阻害剤としてantimycin Aを培養液に添加したところ、antimycin A の添加では寿命の変化がほとんど見られなかったが、valinomycinの添加で寿命の増加を観測した。これはvalinomycinの添加による細胞呼吸が活性化し、酸素濃度が減少したためと解釈される。以上の結果から、細胞内に取り込まれたイリジウム錯体のりん光寿命は、細胞内の酸素濃度に依存して変化し、細胞の活性状態を反映していることが明らかになった。
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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