2013 Fiscal Year Annual Research Report
絶滅のおそれのあるツキノワグマ孤立個体群におけるMHC遺伝子の多様性評価
Project/Area Number |
23310170
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
石橋 靖幸 独立行政法人森林総合研究所, 関西支所, チーム長 (80353580)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大井 徹 独立行政法人森林総合研究所, 野生動物研究領域, 領域長 (10201964)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 保全生物 / 遺伝的多様性 / 孤立個体群 / MHC |
Research Abstract |
絶滅のおそれのある西中国、および東中国山地のツキノワグマ個体群における主要組織適合遺伝子複合体(MHC)遺伝子の多様性の多寡を明らかにするため、西日本各地からサンプルを集め、MHCクラスII DQB遺伝子第2エクソン(270塩基対)の塩基配列を解読した。 全研究期間中に解読を終えた432頭分の塩基配列について解析を行った結果、以下のようなことがわかった。 (1)8種類の塩基配列(対立遺伝子)が観察された。(2)東西の中国山地個体群は、それぞれ3種類の対立遺伝子を持っており、そのうち2種類が共通していた。東中国個体群が保持していた対立遺伝子は全て東隣りの北近畿の個体群でも見られた。(3)ほとんどの個体群が0.4以上のヘテロ接合度を示したが、西中国個体群は、対立遺伝子頻度の分布が特定の対立遺伝子に偏っており、0.2以下の低い値を示した。(4)ハーディー・ワインベルグ平衡にあるかどうか検定した結果、北陸個体群では有意なズレが検出されたが、他の西日本の個体群では平衡からの有意なズレは検出されなかった。(5) 西中国個体群と東中国個体群の間の遺伝的分化(Fst)の大きさは、他の隣接する個体群間の組み合わせと比べて著しく高く、この値だけが0と有意に異なっていた。(6)古い年代のサンプルを用いたと考えられる先行研究では、本研究で対象とした地域個体群から37種類の異なる対立遺伝子が見つかっている。だが、本研究では8種類の対立遺伝子しか確認できず、各個体群において確認された対立遺伝子数は先行研究よりも少なかった。 以上の結果から、他から孤立した状態にあるとされる西中国個体群において、MHC遺伝子の多様性が著しく低いことが明らかになった。また、先行研究との比較から、前世紀の末までの個体数減少時に、西日本の各地域個体群において多様性が大きく減じた可能性があることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Reason
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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