2011 Fiscal Year Annual Research Report
世論調査による中東諸国民の政治意識と政治体制の相互連関の解明
Project/Area Number |
23310173
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
濱中 新吾 山形大学, 地域教育文化学部, 准教授 (40344783)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青山 弘之 東京外国語大学, 総合国際学研究院, 准教授 (60450516)
山尾 大 九州大学, 比較社会文化研究科, 講師 (80598706)
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Keywords | イラク / イスラエル / 世論調査 / 政治意識 / 政党支持 / 中東地域政治 |
Research Abstract |
本研究は、中東地域政治の動向を決定する上で各国政府が注視する一般大衆の政治意識が、近年の政治変動の中でいかに再構成されたのかを分析することで、(1)対象国内の政治エリートと大衆の関係や体制の安定ないし不安定化の要因を解明するとともに、(2)内政と外交がいかに連動し合っているかを探ることを目的とする。平成23年度においてはイラクにおける世論調査とイスラエルにおける世論調査を実施することができた。これらの活動により、(1)イラク人が中東地域の安定化のためにいかなる措置を必要としているのか、そして各政党や国内政治潮流に対する評価・態度と政策的選好についての回答を通じて、地域の政治を把握するための手がかりを得た。また(2)イスラエル人の間に地域安定化のための必要な措置と各政党に対する評価・態度ならびに政策的選好についての回答から、地域の政治を把握する為のアプローチ手段を得た。 研究計画上の懸案事項であったイラクにおける世論調査遂行は成功裏に終わった。具体的には7月までに質問票の内容を確定し、折衝担当の山尾(研究分担者)が現地に赴いてイラク戦略研究所との交渉を行った。9月に調査員への講習が行われ、10月中に直接面談形式の実査が遂行された。12月にデータファイルの入力とクリーニングが行われてファイルの引き渡しを終えた。また当該年度にはイスラエルにおける世論調査も遂行することができた。こちらも8月までに質問票の内容を確定し、10月末に折衝担当の濱中(研究代表者)が現地に赴いてダハフ研究所との交渉を行った。11月初旬に電話聴取法によるインタビュー形式の実査が遂行され、11月半ばにデータファイルの入力とクリーニングが行われてファイルの引き渡しを終えた。これらのデータは平成24年度中に分析され、研究成果となる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画とは異なるイスラエル側のカウンターパートを得たことで、事前情報よりも安価に世論調査を実施できたことが大きい。ゆえに計画段階では平成24年度に行う予定だったイスラエル調査を前倒しした。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画では平成24年度にシリア調査を行う予定であった。しかしながら昨年以降、シリアは内戦状態に陥っており、世論調査を実施できる社会状況ではない。従って、調査対象国をレバノンに切り替え、平成25年度に予定していたパレスチナ調査を前倒しで実施することにした。前倒しで調査を実施することで同内容の質問を二カ国(地域)で同時に聴取することができる。これによりレバノンとパレスチナの越境移動に関する意識の共時的比較分析が可能となる。また過去に実施したレバノンとパレスチナの世論調査データを用いることで通時的な分析も行いうる。
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Research Products
(4 results)