2014 Fiscal Year Annual Research Report
近現代インドにおける食文化とアイデンティティに関する複合的研究
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23310174
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井坂 理穂 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (70272490)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山根 聡 大阪大学, 言語文化研究科(研究院), 教授 (80283836)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | インド / 食文化 / アイデンティティ / 近現代 / ネーション / 都市 / 国際研究者交流 |
Outline of Annual Research Achievements |
2014年度は各メンバーがそれぞれの研究テーマについて資料収集・分析を進め、その成果を2014年12月にデリーで開催した国際ワークショップ(What Do We Eat? Food and Identity in India)で報告した。このワークショップは、デリー大学Janki Devi Memorial College歴史学部との共催で行ったものであり、日本側からは研究代表者(井坂理穂)、研究分担者(山根聡)、連携研究者(篠田隆)、研究協力者(小磯千尋)、及び加納和雄(高野山大学)の5名が報告し、インド側からは研究者6名が報告を行った。このほかに3名のディスカッサントが入り、長時間にわたって活発な議論が行われた。ワークショップを通じて、近現代インドにおける食文化とアイデンティティのあり方がより長期的な歴史の流れのなかで位置づけられるとともに、グローバルな動きとの連関が様々なかたちで明らかにされた。 このほか、2014年5月、6月、2015年1月に国内で研究会を開催した。5月の研究会は現代インド地域研究プロジェクト東京外国語大学拠点との共催で行われ、海外からの研究者2名による報告ののちに、穢れの概念について議論が交わされた。6月の研究会では、プロジェクト外部の研究者2名により、インスタント・ラーメンのグローバル化とアイデンティティ、及び、インド社会の下層民の消費行動の変化についての報告が行われ、社会階層ごとの食文化に関する認識やそれらの変化について議論が交わされた。1月の研究会では嗜好品の流通経路や、インド北東部における食文化などのテーマが取り上げられ、今後発展させるべき研究テーマについてメンバー間で話し合いがもたれた。9月には研究代表者がイギリスで植民地期の食文化に関する資料収集を行った。そのほかに、本プロジェクトのウェブサイトを随時更新し、授業や市民講座などを通じて研究内容を紹介するなど、広範囲に成果を発信することを試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者、研究分担者、連携研究者、研究協力者のそれぞれが順調に研究を進展させている。また、2014年12月にデリーで開催した国際ワークショップにおいて現地の研究者たちと活発な意見交換を行ったことは、とりわけ有意義であった。国内で3度にわたって開催した研究会においても、メンバー間はもとより、関連する分野の研究者たちと意見交換を行うことができた。学術面での交流のほかに、食品を扱う企業関係者と情報交換をする機会も設けた。本プロジェクトの成果は、各メンバーによって、授業や学外での講演にも用いられている。今後は口頭で発表した内容を論文などのかたちにまとめる作業が求められる。
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Strategy for Future Research Activity |
2015年度も引き続き、各メンバーがそれぞれの研究テーマに関する資料収集・分析を進めるとともに、定期的に情報・意見交換の機会を設け、論文集のかたちでの研究成果のとりまとめに向けて準備を進める。2015年6月には東京で国際ワークショップを開催し、インドから招聘する研究者やプロジェクト外部から招聘する研究者に報告を依頼するとともに、プロジェクトのメンバーによる報告やコメントも予定している。 本プロジェクトではこれまで、学会や研究会での口頭発表や論文の刊行とあわせて、ウェブサイトを通じての研究活動・成果の報告、大学の授業や講演会における研究内容の紹介、一般読者向けの雑誌への投稿など、広範な人々に向けた情報発信を試みてきた。2015年度は最終年度にあたることから、プロジェクト終了後にまで続く情報発信のあり方を検討する。 さらに、本プロジェクトを通じて築かれた国内外の研究者との交流を生かしながら、来年度以降に何らかのかたちで関連する研究テーマを扱ったプロジェクトを立ち上げる可能性についても、関係者と協議しながら検討する。
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Research Products
(8 results)