2013 Fiscal Year Annual Research Report
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23310186
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
赤堀 雅幸 上智大学, 外国語学部, 教授 (20270530)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東長 靖 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 教授 (70217462)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 国際研究者交流、フランス / 国際研究者交流、ウズベキスタン / 東洋史 / 文化人類学 / イスラーム / スーフィズム / 聖者 / 宗教 |
Research Abstract |
本研究は、近現代のスーフィズム・聖者信仰複合について、思想研究、歴史学、人類学の専門家による現地調査を推進し、それら専門家の議論を通して相互の了解を深め、より総合的な理解に達しようとするものである。研究の第3年度である今年度は成果のとりまとめに向け、調査の継続と成果発表を併せ進め、具体的には以下の活動を行った。 研究組織については事務局を上智大学に置く研究組織を維持し、さらに研究効率の上昇を計った。現地共同調査には、9月に赤堀と連携研究者1名・研究協力者1名をウズベキスタンに派遣し、現地の専門家複数名の参加も得てタシケント、サマルカンド、ブハラ、フェルガナ他において聖者および預言者一族崇敬について調査を行った。 成果の口頭発表については、7月に2日間の研究合宿、9月には京都大学で研究会を実施した。また、6月に京都大学、平成24年3月に上智大学で、若手研究者の発表を中心とする国際ワークショップを開催した。国外では、8月にマンチェスターで開催された国際人類学民族科学連合の大会に連携研究者1名を成果発表のため派遣し、11月にCNRS(フランス国立科学研究センター)等との連携により国際ワークショップをパリで開催し、連携研究者1名、研究協力者1名を派遣した。平成26年度8月にアンカラで開催される中東研究世界大会のための部会を組織し、発表を採択された。 成果刊行については、『上智アジア学』31号に特集を組み、また、一般向けの図書として『イスラームを学ぶ人のために』(世界思想社から刊行予定)の執筆を進め、本年度のパリでのワークショップの成果を英文論集として刊行する方向で調整を行った。 国内所蔵のない関連文献を収集し、研究期間中は消耗品として研究会等に使用し、研究期間終了後には、上智大学および京都大学の図書館に寄贈し、若手研究者等の使用の便を図ることとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調書上に述べた研究活動の全般についてはほぼ予定通りの展開がなされているが、現地調査への派遣については、中東他の地域における政治状況の不安定や研究代表者、研究分担者、連携研究者等の所属先機関での職務との兼ね合いもあって、必ずしも予定通りに実施できていない。平成23年度は予定通りインドネシアでの調査を実現することができたが、平成24年度は調書上、バングラデシュでの調査を予定したところ、平成25年度に予定のイラン調査をもって替えざるをえず、平成25年度にはウズベキスタンでの調査を行うこととなった。しかしながら、共同調査によって各自の専門分野と地域に関する諸前提を見直すという意味では、有効な調査が実現できている。 研究会、研究合宿、若手中心国際ワークショップ、CNRSとの連携国際ワークショップなどは予定通り、もしくは予定した以上の順調な展開を示しているが、さらに研究を充実するために、より体系的な主題設定が必要である。最終年度の中東研究世界大会での部会発表は予定通り採択され、より充実した部会となるよう準備を進めている。 成果の刊行については、研究文献目録および研究動向報告の刊行が遅れており、最終年度である平成26年度の実施を期したい。その一方で、当初に予定していなかった一般向けの図書および英文の論集の刊行の目処が立ってきており、この点は予定以上の進展ということができる。 3年間の活動を通して考えたとき、個々の実施項目については予定以上に進展したものも充分に実施できなかったものもあるが、全体としては本来の目的に沿った活動を活発に展開できており、最終年度を前にして、成果のとりまとめに向けて充分な準備を整えることができたと考量する。平成26年度には積極的に成果を公開し、また本研究をさらに発展的に展開するための方向性と具体的な方策について議論を深めることが肝要である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は平成25年度と26年度を、研究の方向性を収斂し、具体的な成果を生み出す期間と位置づけている。その第1年度を終え、すでに成果の一部を『上智アジア学』での特集として公にすることができたが、他の成果公開の取り組みについても、平成26年度に着実に実現するべく努力を払う。 具体的な成果としては、平成26年度にアンカラで開催される第4回中東研究世界大会での部会発表を実施し、これを元に学術誌(『アジア・アフリカ地域研究』『イスラーム世界研究』などを予定)上の特集を組むこと、一般向けの図書としての『イスラームを学ぶ人のために』(仮題、世界思想社)の刊行、平成25年度にパリで行った国際ワークショップでの発表を中核に英文論集を平成27年度に刊行(Jean MAISONNEUVE社、パリ)すべく準備を完了することの四つを明確な課題として設定する。 理論面においては、研究代表者と研究分担者らがこの分野において提唱してきたスーフィズム・聖者信仰複合論、スーフィズム三極構造論等の精緻化と周知が、研究期間中に発表してきた論文等で着実に進められてきている。これは、上記の中東研究世界大会で予定されている発表およびその後の学術誌上の特集でさらに進展すると期待される。平成26年度には、これらの理論を検証する具体的な事例研究にさらに積極的に取り組み、また、本研究を発展的に展開する方策を練る研究打ち合わせを充分に行っていくことも欠かせない作業となる。 併せて、より地道な作業となるが、関連図書の蓄積、研究文献目録・研究動向報告の刊行、ウェブサイトによる(とくに英語での)情報提供などを着実に実施できるよう、研究協力者の組織化、研究補助者の活用を含めて、必要な対応を行うこととする。
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Research Products
(30 results)