2011 Fiscal Year Annual Research Report
戦前・戦時期日本における中東研究の現代的展開-「回教・猶太問題」からの視座
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23310187
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
臼杵 陽 日本女子大学, 文学部, 教授 (40203525)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 博 一橋大学, 経済学研究科, 教授 (10134636)
店田 廣文 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (20197502)
長澤 栄治 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (00272493)
三沢 伸生 東洋大学, 社会学部, 准教授 (80328640)
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Keywords | 戦時期日本の回教研究 / 大川周明 / 内藤智秀 / 東亜経済調査局 / 大川塾 / 雑誌『新亜細亜』 / ハーッジ・アミーン・アル・フサイニー / ナチス・ドイツ |
Research Abstract |
本年度は(1)総括、(2)日本の回教研究、(3)対アフガニスタン関係、(4)対トルコ関係、(5)対エジプト関係、(6)対パレスチナ(ユダヤ)関係の6つの研究グループをベースとした合同研究会を個別に数回開催した。とりわけ(2)のテーマ「日本の回教研究」を中心に据えて、6グループの総括的共同事業の性格をもつ公開講演会「庄内からイスラームを考える」を、第二次世界大戦期を代表するイスラーム(回教)研究者である大川周明の出身地の山形県酒田市において、日本中東学会との共催で2011年11月12日に開催した。同講演会において、本研究プロジェクトの研究代表者の臼杵陽が「大川周明のイスラーム研究」、研究分担者である長沢栄治が「アラブ革命と日本」、同じく分担者の三沢伸生が「内藤智秀とイスラーム」と題する講演を行なった。100人以上の観客が参加したため、庄内地方のもつイスラームとの関係性が明らかとなり、その意味では啓蒙的な意義をもつ社会的還元となった。更にその講演会の模様はDVD2巻にまとめられた。また、大川周明家資料調査および大川塾関係者のインタビュー等に関しては継続して行われ、その成果の一端はDVD「大川周明大川塾塾生の足跡-加藤健四郎さんインタビュー」(ケイエムコンサルティングLLC制作)として刊行された。これは、現在2名の生き残りしかいない大川塾の元塾生が第二次世界大戦中の体験を証言したものであり、史料的価値を有するものである。また、大川周明が理事長を務めていた東亜経済調査局が発行していた『新亜細亜』復刻版の一部が不二出版より刊行され、その刊行に協力するとともに研究代表者の臼杵陽が「解題雑誌『新亜細亜』と大川周明」を寄稿した。(6)対パレスチナ(ユダヤ)関係に関するテーマについては、第二次世界大戦期ドイツにおけるパレスチナ人指導者ハーッジ・アミーン・アル・フサイニーとナチスの関係をめぐる研究および資料収集に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
山形県酒田市での公開講演会「庄内からイスラームを考える」の開催によって社会的還元がある程度達成された。また大川周明関係の史資料収集・整理・公開も継続して行なわれた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は海外研究協力者であるジェミル・アイディン氏がノースカロライナ大学に移って新たな職場で多忙を極めたために、アメリカ合衆国における東亜経済調査局に関する資料調査が予定より遅れることになった。来年度はこの点を改善して、同氏との関係を緊密にして戦時期日本の回教研究を国際的な環境の中で位置づける努力を行なう。
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Research Products
(22 results)