2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23320008
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
横手 裕 東京大学, 人文社会系研究科, 准教授 (10240201)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邉 麻里子 弘前大学, 人文学部, 教授 (30431430)
KIM JIHYUN 京都大学, 人文科学研究所, 助教 (20553473)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 道教 / 道蔵 / 中国思想 |
Research Abstract |
前年度に引き続き、宮内庁書陵部所蔵道蔵の洞真部部分の写真複写版を用い、巻頭部(あるいは巻末)の印記の有無、各丁の版式の相違をはじめ、句読点の存在、補写の有無、書き込み等の有無などの書誌情報について細かくチェックを進めた。同時に、複写版だけではわかりにくい部分を中心に、書陵部へ赴いて一帖ずつ現物を見て実際の状態を確認した。前年度同様、これらの作業にあたっては、若手研究者や大学院生等の数名を加えて調査組織を作り、さまざまな面で補助を得た。またやはり前年度同様、宮内庁書陵部主任研究官の田代圭一氏に細かい問題等について相談し、また教示をいただきながら調査を進めた。さらに研究分担者の渡邉麻里子には、仏蔵(大蔵経)調査の経験に基づく知見や各種情報を随時提供してもらった。その結果、調査方法の詳細についても方針が確定し、全体のおよそ3分の2まで作業を進めることができた。この途上で通行本の道蔵の重大な欠陥を発見するなど多くの収穫があり、本調査の意義を改めて確認することができた。 このほか、研究代表者の横手は24年度、本務校に特別研究期間を申請して認可され、中国とヨーロッパで約3ヶ月ずつ滞在する機会に恵まれた。これを利用して中国とフランスに残存する道蔵について実見を含めて鋭意情報収集を行い、今後の道蔵調査について格段に視野を広げる多大な成果が得られた。 また今年度より研究分担者に加わった京都大学のKIM JIHYUN氏の協力を得て、京都大学附属図書館所蔵の道蔵の調査を行った。KIM氏の尽力により、24年度のうちにこの道蔵についての基礎的書誌情報の調査はほぼ終わり、25年度は総括の作業に入る予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の中心的な課題である宮内庁書陵部所蔵の道蔵の調査については、おおむね予定通りに進んでいる。しかしそれに加えて、新たに分担者となったKIM氏の献身的協力を得て、京都大学附属図書館所蔵の道蔵の調査が予想以上に進んだ上、海外の道蔵に関する情報収集も思いがけず豊穣なものであったため、24年度は当初の予定を上回る進展があったと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は最終年度となるが、基本的には当初の計画通り、宮内庁書陵部所蔵道蔵の洞真部部分の目録を完成させ、合わせてその由来と現状についての論文や、京都大学附属図書館所蔵の道蔵の目録等を作成し、一冊の研究報告書にまとめて刊行する予定である。 しかし今後予定している宮内庁本道蔵の全体調査に重要な参考情報を提供してくれることになると思われる海外の道蔵調査にも道が開けてきたので、そちらに繋がる活動も可能な範囲で行っておきたいと考えている。
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Research Products
(10 results)