2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23320009
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
水上 雅晴 琉球大学, 教育学部, 准教授 (60261260)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 行雄 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (60241402)
近藤 浩之 北海道大学, 文学研究科, 准教授 (60322773)
佐野 比呂己 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (60455699)
江尻 徹誠 北海道大学, 文学研究科, 専門研究員 (80528232)
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Project Period (FY) |
2011-11-18 – 2015-03-31
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Keywords | 校勘 / 経典 / 日中学術交流 / 年号勘文 / 琉球漢学 / 易学 / 書き入れ |
Research Abstract |
本年度は研究組織全体で、国内外の学術書および学術雑誌に、本研究課題に関連する論考を7篇掲載した。学術雑誌には、中国において「核心期刊」と位置づけられる学術的価値の高い学術誌2誌が含まれている。また、国際学会において本研究課題に関連する論文7篇を口頭発表した。それに加え、11月に「経典と校勘」国際学術シンポジウムを開催し、国内外の著名な研究者20名による論文発表と研究討議を通して、本研究組織だけでは得ることが望めない新たな知見を獲得することができ、校勘学上の様々な問題に対する理解が深まった。 この学術シンポジウムで発表された論文の多くが国外の学術雑誌に掲載されることが決まっている。このことは、本研究計画の一環として開催した本会議の学術上の水準の高さを示しており、国外の学術雑誌への掲載が予定されている論文には、研究組織構成員によって発表された論文2篇も含まれる。したがって、次年度の研究成果として、この論文2篇が見込まれる他、上記会議で発表され、研究組織に属する者によって翻訳・注釈がなされた論文4篇も国外の学術雑誌への掲載がほぼ決まっている。 調査活動に関しては、年号勘文資料および琉球漢籍の所蔵機関に出張し実物を調査するのみならず、各機関から許可を得た上で、デジタルカメラにて多くの資料を撮影した。調査活動を通して入手した資料の一部は、上述の論文や学会発表の中で用いた。 年号勘文資料については、資料集の作成を進めているが、当初予定していたよりテキストの伝承状況が複雑であり、基幹資料を定めることすら難しいことが判明した。したがって、本研究計画の段階では、できるだけ多くの伝承テキストを図表化して、伝えられたテキストの多様性を示すにとどめることにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最終年度に実施予定だった国際シンポジウムを一年前倒しして実施したが、その中で発表された論文の多くが既に国外の学術誌への掲載が決まっていることは、研究計画の大きな柱に据えていた本会議が学術面で成功を収めたことを示す。これまで調査・収集してきた年号勘文資料および琉球漢籍資料の中、校勘学に関わるものをもとに作成した論文2篇が本年度、「核心期刊」に位置づけられる中国の学術雑誌に掲載されたことも、本研究課題にもとづく研究が国際的な学術価値を備えていることを示す。 研究計画の柱の一つである年号勘文資料集の編集に関しては、当初想定していたより、所収テキスト相互の間に食い違いが認められるので、版本系統の確定は難しくなったように思われる。それでも予定されている資料集の作成は十分に実現可能な状況にある。研究計画の中では、釈家の校勘を一つの研究項目として後から追加したが、この方面に関する研究については十分な成果が上がっていない。 以上のことから、当初の計画以上に進展している部分もあるが、想定通りに進んでいない部分もあり、全体的には「おおむね順調に進展している」と判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
前項で示した通り、当初の想定に反して、所収テキスト相互の間にかなりの不一致が認められることがわかったため、年号勘文資料集に関しては、一つの資料を底本に定めた上で、他の資料との文字の異同を校勘記の形で示すことが難しくなった。そこで、基幹資料たり得る年号勘文資料の調査を続けながら、既に入手した資料所収のテキストを図表の形で列挙することで、テキストの伝達状況を目に見やすい形で提示できるようにするべく編集方針を改める。 また、後から追加した研究項目である釈家の校勘については、十分な研究成果が上がっておらず、現状では見通しも立たないので、研究規模を縮小し、その分の労力を年号勘文資料集の編集作業に振り向ける。
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Research Products
(15 results)