2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23320013
|
Research Institution | Bukkyo University |
Principal Investigator |
松田 和信 佛教大学, 仏教学部, 教授 (90268128)
|
Keywords | 仏教学 / アフガニスタン / 写本 / ガンダーラ語 / 国際研究者交流 |
Research Abstract |
本研究は、1990年代にアフガニスタンのバーミヤーン渓谷およびパキスタン東部のギルギットから新たに発見されたインド系諸語による仏教写本類に対して、ヨーロッパおよび米国の研究協力者と共に解読研究を行ってインド語テキストを作成し、解説と翻訳を付して出版を目指すものであるが、平成23年度はサンスクリット語による『法句経』の写本断簡類、および『長阿含経』写本の一部、さらにガンダーラ語による『賢劫経』の写本断簡類を中心とする解読研究を主として行った。まずノルウェーのスコイエン・コレクションに含まれる、アフガニスタンより出土した、大衆部系教団が伝承したと思われる、因縁物語付きの『法句経』写本の断簡類、および大乗経典であるガンダーラ語の『賢劫経』写本の断簡類について、カリフォルニア大学バークレー校のステファン・バウムス博士を招聘して共同で解読研究を行い、『賢劫経』写本の断簡類については最終的なテキストと英訳を作成した。前者はギルギット・バーミヤーン第1型文字で樺皮に書写されたサンスクリット語写本であり、後者はカローシュティー文字で貝葉に書写されたガンダーラ語写本である。またギルギットから発見された説一切有部教団の伝承した『長阿含経』写本について、独ライプチヒ大学のグドルン・メルツァー博士を招聘して、その第三篇「戒蘊品」に含まれる二つの経典に対して共同で解読研究を行い、テキストを作成した。23年度の研究において特筆すべきは、今まで類例のなかったカローシュティー文字によるガンダーラ語大乗経典写本の全貌をほぼ明らかにすることができたことである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
海外共同研究者の招聘が予定通り行われたことにより、当初予定された『法句経』と『長阿含経』に加えて、『賢劫経』の解読研究にまで進み、重要な研究成果をあげることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
未解読で重要な写本断簡類が大量に残されており、現在の研究方法で着実に解読研究を行ってゆきたい。
|
Research Products
(1 results)