2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23320013
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Research Institution | Bukkyo University |
Principal Investigator |
松田 和信 佛教大学, 仏教学部, 教授 (90268128)
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Project Period (FY) |
2011-11-18 – 2016-03-31
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Keywords | 仏教学 / アフガニスタン / パキスタン / 写本 / ガンダーラ |
Research Abstract |
本研究は、アフガニスタンのバーミヤーン渓谷およびパキスタン東部のギルギットから、1990年代の中頃に新たに発見され、世界各地のコレクションに所蔵される大量の仏教写本類に対して、海外の研究協力者と共に解読研究を行い、その研究成果として得られる仏教文献のサンスクリット語およびガンダーラ語テキストと翻訳の出版を目指すものである。平成25年度は、ガンダーラ語による大乗経典断簡類の解読と同定作業、さらにサンスクリット語の『長阿含経』写本を中心とする教団文献類の解読を継続して行った。(1)まず、ノルウェーのスコイエン・コレクションおよび我が国の平山郁夫コレクションに含まれる、カローシュティー文字によるガンダーラ語の大乗経典写本断簡類について、海外の研究協力者と共に出版を目指す解読作業を継続して行った。その結果、『賢劫経』『菩薩蔵経』『集一切福徳三昧経』に続く、第4の大乗経典の存在が明らかとなった。新発見断簡は『観察諸法行経』との類似性を持つが、対応する漢訳とチベット語訳の存在しない未知の大乗経典である。(2)次に、平山郁夫コレクションおよび米国のアダムス・コレクションに所蔵される、説一切有部教団が伝承した、パキスタンのギルギット出土と伝えられるサンスクリット語の『長阿含経』写本について、出版のための解読研究を前年度に引き続いて行った。25年度は、『長阿含経』に含まれる二つの『ローヒトヤ経』の梵文校訂テキスト作成に続いて、『トリダンディ経』の再解読へと進んだ。なお、新発見の『観察諸法行経』に類似したガンダーラ語大乗経典断簡については、25年9月に開催されたドイツ東洋学会(ミュンスター大学)、および25年9月の日本印度学仏教学会(島根県民会館)において研究発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
海外共同研究者との研究協力体制が問題なく維持され、当初予定されたアフガニスタンとパキスタン出土写本類に対する解読研究が計画通りに進み、関連する文献類の分析も順調に行われた。
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Strategy for Future Research Activity |
未解読の重要写本がなお大量に残されており、海外共同研究者の協力を得ながら、現在の研究方法で着実に解読研究を行ってゆきたい。
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Research Products
(3 results)