2011 Fiscal Year Annual Research Report
南宋絵画史における仏画の位相-都と地域、中国と周縁-
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23320033
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
井手 誠之輔 九州大学, 人文科学研究院, 教授 (30168330)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
板倉 聖哲 東京大学, 東洋文化研究所, 准教授 (00242074)
谷口 耕生 独立行政法人国立文化財機構奈良国立博物館, 学芸課, 研究員 (80343002)
塚本 麿充 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸研究部, 研究員 (00416265)
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Keywords | 南宋絵画史 / 仏画 / 東アジア / 杭州 / 概念モデル / 大徳寺五百羅漢図 / 李唐 / 呉越国 |
Research Abstract |
1、国内外におけるワークショップの開催 本研究では、南宋仏画の位相を定置しうる南宋絵画史の枠組みを再構築するための概念モデルを構築すべく、国内外でのワークショップを継続的に開催することを課している。今年度は、2つのワークショップを主催し、多くの参加者を交えて議論した。 (1)南宋絵画研究の現況と課題I-李唐をめぐって(九州大学文学部:2012年2月6日) 発表者として、陳韻如(台北故宮博物院)女史を招聘し、同氏と井手が研究発表を行い、李唐における北宋絵画の援用、南宋仏画における李唐画の受容について、議論を行った。 (2)Harvard 500 Luohan Workshop(ハーバード大学:2012年2月18日、ユキオ・リピット教授と共催) 大徳寺伝来の五百羅漢図に関する最新の研究成果にもとづいて、井手とともに、北澤菜月(奈良国立博物館)、Sukhee LEE (Rutgers University)、Phillip BLOOM (Harvard University)、Gregory LEVINE (UC Berkeley)の都合5名が研究発表を行い、美術史、東洋史、宗教史の研究者を交えた学際的な観点から、大徳寺五百羅漢図のもつ社会史・地域史的意義、グローバルアートとしての今日的意義について議論した。また、ワークショップとあわせて、参加者によるボストン美術館所蔵の大徳寺本10幅、関連する北宋から南宋時代の絵画の熟覧調査を行った。 2、個々の研究分担者の調査研究 南宋仏画の位相を定置するために、南宋仏画を育んだ作画環境についての多角的な分析が必要となるが、その課題に対して、呉越国以来の杭州における仏教文化の伝統(谷口)、北宋の都開封における呉越文化の受容と南宋の杭州におけるその展開(塚本)、南宋杭州における宮廷と禅宗絵画(板倉)について、調査研究をすすめ、一部を、研究論文として公にした。 3、研究資料の蓄積とデータ化 大学院のゼミを利用して南宋仏画資料の蓄積と分析を行い、相互利用のためのデータ化を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
東北大震災の影響でやや研究のとりかかりが遅れたが、ノルマとして定めていた国内外におけるワークショップの開催を行うことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
3年間の研究計画の第二年次にあたるため、第一年次の研究成果をもとに計画に即した研究を進展させるようにする。国内外でのワークショップの開催については、昨年度、ワークショップで発表を行わっていない研究分担者は当然のこととして、各自が複数回の発表を行うことも前提に研究と協議を深めたい。なお、ワークショップの連絡については、1ヵ月前には内容を確定し、ホームページ等を活用して広報するように努力する。
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Research Products
(25 results)