2013 Fiscal Year Annual Research Report
「モノ」の世界から見た中世イスラームの女性~ガラス器と陶器を中心に~
Project/Area Number |
23320035
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Research Institution | The Toyo Bunko |
Principal Investigator |
真道 洋子 公益財団法人東洋文庫, 研究部, 研究員 (50260146)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | イスラーム / ガラス器 / イスラーム陶器 / クフル / トルコ / ルーブル美術館 |
Research Abstract |
本年度は、現地調査として、連携研究者の深見奈緒子氏と研究協力者の宍戸克己氏とともに、トルコにおける建築および考古学、美術史的な観点を中心に現地調査を実施した。エディルネ、イスタンブル、ブルサ、アフヨン、コンヤ、カイセリ、アダナ、ガジアンテプ、ディアルバクルなどを踏査し、諸都市のモスクやメドレセなどの建築物や各地の考古学博物館などの諸博物館の収蔵品調査を実施した。さらに、セルジューク朝の宮殿址クダナバードおよびシリア国境近くのハランの都市の考古学的遺跡の踏査も行った。 海外での資料調査としては、フランスにおいて二度にわたり、ルーヴル美術館をはじめとするイスラーム関連の資料調査および地中海地域の窓口であるマルセイユの港の調査を実施した。また、研究協力者の藤井慈子氏とともに連携研究者であるルーブル美術館考古学者のRocco Rante氏と翌年度のウズベキスタンのブハラ近郊のイスラーム時代の遺跡の発掘調査に関する打ち合わせを行った。この結果、出土ガラスを担当することとなった。 ガラスの復元研究に関連して、ベルギーのベルゼケ考古学博物館で開催された古代ガラス製造復元のイベントにも参加し、現在テーマとしているクフル用のガラス容器復元の打ち合わせを行った。この復元には、ガラス作家の石田氏の協力を得て化粧用のガラス小瓶の復元研究および製作を進めてもらっており、特に小瓶へのカット装飾技法の研究が進展している。 国内では、5回の定例研究会と共催で2回のシンポジウムを実施した。広く他の研究者にも参加を呼び掛け、多角的で学際的な視点や研究手法からこの課題としている生活文化へのアプローチを行った。今年度の研究成果は個人が論文や研究発表の形で行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
エジプトにおける政変で現地調査がはばまれたが、今年度トルコにおいてアナトリア半島のほぼ全域の踏査とフランスにおける資料収集が実施できた。これによって、政情不安定地域を除く環地中海地域のイスラーム圏の主だった国、および湾岸と西安を調査したことになり、イスラーム世界全体の中での物質文化の地域性の把握が行えた。さらに、来年度以降、ウズベキスタンでの発掘調査参加の見通しができた。 国内では、活発な研究会活動の実施とネットワークづくりが推進できた。
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Strategy for Future Research Activity |
ウズベキスタンの考古学的発掘においてユーラシア大陸におけるイスラーム・ガラスと陶器の現況を確認し、これによってイベリア半島からアジア地域におけるイスラーム圏のガラス器とイスラーム陶器の概要を網羅する。また、補足的な現地調査および資料収集を継続する。 国内においては、早稲田大学に保管されているフスタート遺跡出土遺物の調査を行う予定である。また、エジプト・イスラーム美術関連の研究会を継続して開催し、最終的に統括のシンポジウムを開催する予定である。
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Research Products
(50 results)