2014 Fiscal Year Annual Research Report
定家本伊勢物語・源氏物語の形成と展開に関する総合的研究
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23320052
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
加藤 洋介 大阪大学, 文学研究科, 教授 (00214411)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 登朗 関西大学, 文学部, 教授 (40210538)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 源氏物語 / 伊勢物語 / 定家本 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究においては、既刊校本の補訂および未収の室町期写本を収集調査することを基盤とする。その作業の過程において、本文の異同のみならず「表記・改行・音便」といった点について、各伝本の特徴および他の伝本との共有状況を明らかにし、定家本伊勢物語・源氏物語の形成と展開の過程について検討する。したがってまずは、それぞれの伝本の収集とその調査が研究実施計画の柱となる。 伊勢物語については、既刊校本所収伝本のうち調査可能なものについては、ほぼすべて調査を終えることができた。これらのデータを整理し、『伊勢物語校異集成』(仮称)として出版することの目途がついた段階にある。 源氏物語においては、ホームページ上でデータ公開を行った。http://www.let.osaka-u.ac.jp/~ykato/ 公開したのは、01桐壺・02帚木・03空蝉・04夕顔・05若紫・07紅葉賀・08花宴・09葵・10賢木・11花散里・12須磨・13明石・14澪標・15蓬生・16関屋・17絵合・18松風・22玉鬘・29行幸・30藤袴・31真木柱・34若菜上・35若菜下・36柏木・37横笛・38鈴虫・39夕霧・40御法・41幻・42匂宮・44竹河・45橋姫・47総角・48早蕨・51浮舟・53手習の巻で、源氏物語54巻のうち過半となる36巻である。いまだ作業途上の段階であり、採用伝本を各巻で統一していないなど、不備な点も少なくないのであるが、完成にはまだ数年を要する見込みであり、この段階にあってもいったんは公開して研究者に活用していただくことが、新たな研究の可能性を拓くことに繋がると判断した。またシンポジウム「源氏物語 本文研究の可能性」(中古文学会関西部会 第三十九回例会)において「河内本・別本から見た定家本源氏物語」と題する発表を行った。これをもとに定家本源氏物語が抱える問題点について論文化する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
源氏物語については、これまでの研究成果として、源氏物語54巻の過半にあたる巻について『源氏物語大成 校異篇』を補訂・増補したデータをホームページ上に公開することができた。 また伊勢物語についても、調査可能な伝本の収集調査をほぼ終了し、本研究の研究期間内に『伊勢物語校異集成』(仮称)という形で校本を出版することが十分可能な段階に達していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の研究期間はあと1年である。研究計画最終年度にあたる来年度は、当初の目的であった伊勢物語に関する校本出版に向けての作業に集中する。すでに調査すべき伝本調査をほぼ終えた段階にあり、データの整理やチェック作業を慎重に進めることで、年度内出版を目指す。
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