2013 Fiscal Year Annual Research Report
金剛寺所蔵典籍の集約的調査と研究―聖教の形成と伝播把握を基軸として
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23320054
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Research Institution | Seijo University |
Principal Investigator |
後藤 昭雄 成城大学, その他, 元教授 (80022284)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒木 浩 国際日本文化研究センター, 研究部, 教授 (60193075)
赤尾 栄慶 独立行政法人国立文化財機構京都国立博物館, 学芸部, 上席研究員 (20175764)
箕浦 尚美 大阪大学, 文学研究科, 助教 (70449362)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 金剛寺 / 寺院資料 |
Outline of Annual Research Achievements |
聖教の全体的調査 本研究の柱の一つとして、毎月一度、金剛寺へ出張して聖教の調査を行い、その成果に基づいて、先に作成していた「金剛寺聖教目録」に補訂を加えた。本年度までに金剛寺所蔵の聖教55函分のうち77函、8863点、約91パーセントの聖教について作業を完了した。これによって最終年度である26年度には全部の補訂作業を完了する目処が立った。 この作業の過程で判明した金剛寺第13代学頭禅恵関連の写本の集中的な研究の必要に対応するために関係写本約350点の撮影とデータベース化を行った。 研究会 金剛寺所蔵の古写本「捌釈」の研究会を発足させた。 京都国立博物館所蔵貴重典籍の閲覧、勉強会 研究分担者赤尾栄慶が所属する京都国立博物館は国宝、重要文化財を含む貴重な典籍を多数所蔵しているので、古写本を見る眼を養うために、同氏の高配により、それら典籍を閲覧する勉強会を開いた。 次年度のための準備 26年度は本科研の最終年度となるので、どのようなかたちで研究成果を公表するかを話し合う会議を2回開催した。上記の毎月の調査成果を反映させた目録の刊行、及び研究成果の外国へ向けての公表を中心とすることとした。後者については中国で開催することとして、研究代表者の後藤が北京での学会に参加した機会に、北京の中国人民大学の李銘慶教授に依頼して応諾を得たので、具体化に向けて準備を進めることとした。 研究成果公表の準備 本科研終了後のこととなるが、これまでの研究成果を広く公開する必要のあることから、金剛寺所蔵の貴重典籍を書籍として刊行することを予定して、上記の会議において、どのようなかたちにするか、所収典籍の候補書目、分類、冊数などについて検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
25年度までの研究計画として(1)金剛寺所蔵貴重典籍の総合研究と成果公表(2)金剛寺聖教の形成と伝播についての集約的調査(3)金剛寺の経蔵構成の解明を掲げているが(最終年度26年度には「金剛寺聖教の持つ国際性の提示」を計画している)、(1)については毎月一度の金剛寺へ出張しての調査により、以前に作成した目録の補訂作業が上記「研究業績の概要」に記したように順調に進んでおり。26年度に完了し、刊行しうることは確実となった。 (2)(3)の課題をすすめるための調査、データベースの蓄積については、禅恵関連写本を中心として行った。 また成果公表については、これも「概要」に記したように、26年度に予定している中国人民大学でのシンポジウムにおいて、これを行うことを念頭において準備している。加えて本科研終了後であるが、貴重典籍の書籍としての刊行を予定して、その準備に取りかかった。ただし本年度における成果発表は少なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度は本科研の最終年度となるが、毎月の金剛寺における調査は引き続き行う。これによって金剛寺聖教の総合研究の成果として「金剛寺聖教目録」を刊行する。またこのなかで貴重聖教の集中的調査を行い、その成果を中国でのシンポジウムでの発表、今後の課題としている貴重典籍の書籍としての刊行に反映させる。 25年度に始めた金剛寺所蔵の古写本「捌釈」の研究会を継続し、その解明をすすめる。 上記の調査研究の成果を北京人民大学でのシンポジウムにおいて報告し、金剛寺聖教の有する意義を日本人研究者のみならず、外国の研究者にも認識してもらう。このことは金剛寺という一寺院にとどまらず、日本文化の伝承保存に果たす寺院の役割を明らかにするもので、中国とは異なる日本における寺院の意義を知らしめるものとなるはずである。 同じく研究成果の公表ということとして、予定している金剛寺の貴重典籍の刊行を視野に入れて、その準備を進めていく。
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Research Products
(3 results)